ビットコイン( BTC )のトランザクションに含まれる非金融データの制限をめぐり、コミュニティ内の意見対立が再び激化している。
議論の焦点となっているのは、開発者Dathon Ohm氏が提案したビットコイン改善提案BIP-110だ。BIP-110は、約1年間の期間限定ソフトフォークとして、ブロックチェーン上に記録される「非金融的な任意データ」(画像、動画、テキストなど、いわゆるスパムと認識されるもの)を厳しく制限することを目指している。
具体的には、次のような対策が提案されている。
この提案は、昨年10月にリリースされたビットコインのオープンソースソフトウェア「Bitcoin Core」の最新アップグレード(v30.0)で、それまでのOP_RETURNの上限が事実上撤廃された後に浮上した。
OP_RETURNは、ビットコインのスクリプト言語で使用されるオペコードで、トランザクション出力に任意のデータを載せると同時に、その出力を無効化する機能。ビットコインブロックチェーンにタイムスタンプや追加情報などのメタデータを埋め込むことができる。
このアップグレードで上限が80バイトから10万バイトへと大幅に引き上げられたことにより、ビットコイン取引に金融とは無関係の大量データが埋め込まれるようになりかねないと危惧する声が上がり、当時も大きな議論を巻き起こした。
ビットコインを「健全な金融インフラ」として守るべきだという主張を持つ開発者やマイナーらは、トランザクションに厳格なデータ制限を適用できる代替ノードソフト「Bitcoin Knots」の利用を始めた。
このソフトを維持管理する Luke Dashjr氏は、2023年以降、インスクリプションを「スパム」と呼び、ビットコイン上の任意データ制限を強く支持してきた。同氏はOceanマイニングプールのCTOも務めており、BIP-110への支持を表明している。現在、BIP-110を支持しているノードは、全ノードの約3〜9%と報道されている。
3月に入り、OceanプールによってBIP-110への支持を示す最初のブロックが生成されたことで、ビットコインのデータ制限議論は激化した。
BIP-110の支持者らは、大容量のインスクリプションや、 OP_RETURN ペイロードを含む無制限のデータが、ビットコイン本来の健全な金融インフラとしての役割を脅かし、ノード運営者に過剰な負担をかけると主張している。
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BlockstreamのCEOアダム・バック氏は、BIP-110は信頼できる通貨としてビットコインの評判に対する攻撃だと主張し、強く反対する立場を貫いている。
反対派は、BIP-110による修正は、スパムよりもビットコインの信頼を失わせることになると述べている。
そんな中、スロバキアのビットコイン開発者Martin Habovštiak氏は、66KBのTIFF画像を単一トランザクションとして、ビットコインブロックチェーンに埋め込むことで、BIP-110に異議を唱えた。
同氏は2月26日、Xで当該トランザクションの詳細を発表した。66KBの画像には、BIP-110の中心的支持者であるDashjr氏が泣く様子が描かれている。投稿には、あらゆるビットコインフルノードで独自に検証可能な手順を、ステップごとに解説した詳細資料へのリンクも添付されている。
Habovštiak氏は、このトランザクションで、BIP-110が制限対象としているOP_RETURNオペコードやTaproot、OP_IFなどを一切使用せずに非金融データを埋め込むことに成功したと説明。これにより、BIP-110で提案された制限が別の方法で回避可能であることを証明したと主張している。
さらにDashjr氏がこの手法は「連続的ではない」と指摘すると、Habovštiak氏は即座に反論。BIP-110の制約を遵守した別バージョンのトランザクションを作成・公開した。その準拠版の方が、当初のものよりもデータ容量を大幅に増加させる結果となったことから、「BIP-110は、ビットコイン・ブロックチェーン上に保管されるデータ総量を逆説的に増やす可能性がある」と批判している。
また、Habovštiak氏はこの実験は一度限りの概念実証であり、ビットコイン上でNFTのような利用を助長しないよう意図的にコードを非公開にしていると述べている。同氏自身もブロックチェーンスパムに反対している立場だが、Knots陣営の「虚偽」に動機づけられ、この実験を公開したと次のように述べた。
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