米国の大手暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンは19日、新規株式公開(IPO)に向けた機密登録届出書を米証券取引委員会(SEC)に提出したと発表した。
同社は普通株式の上場に関するS-1様式をSECに機密提出したもので、株式数や価格帯などの詳細は明らかにされていない。IPOはSECの審査完了後、市場環境などを条件に実施される予定で、業界関係者は2026年第1四半期の上場を見込んでいる。
クラーケンは2011年に設立され、現物取引、デリバティブ、トークン化資産、ステーキング、決済サービスなどを提供している。同社は2024年には6,650億ドル(約104兆円)の取引高を記録、顧客資産は428億ドル(約6兆7,200億円)に達した。
財務面でも成長が続いており、2024年には15億ドル(約2,355億円)の収益を計上。2025年は第1〜第3四半期だけでこれを上回っている。
こうした業績改善も背景に、IPO申請前日の11月18日には8億ドル(約1,256億円)の資金調達を完了。シタデル・セキュリティーズやジェーン・ストリートなどの機関投資家が参加し、企業評価額は200億ドル(約3兆1,400億円)へと上昇した。9月時点の150億ドル(約2兆3,550億円)から約33%の増加となる。
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仮想通貨業界では2025年に入り、米国での新規上場が相次いでいる。ステーブルコイン発行大手のサークル、仮想通貨取引所のジェミニやブリッシュなどが今年相次いで上場を果たした。
こうした動きの背景には、トランプ政権の仮想通貨に対する友好的な姿勢がある。トランプ大統領は1月23日に仮想通貨の成長を支援する大統領令に署名し、米国を「仮想通貨の首都」にすると公約している。
また規制当局の人事も一新され、証券取引委員会(SEC)では暗号資産に理解のある人物が要職に就いた。
ロイター通信によると、専門家は、仮想通貨企業が2026年の中間選挙前に上場を急いでいると分析している。選挙結果次第で規制環境が変化する可能性があるため、現在の友好的な環境を活用しようとする動きが加速しているという。
クラーケン以外にも、仮想通貨ファンドを運営するグレースケール、デジタル資産の保管サービスを提供するビットゴーといった企業が上場準備を進めている。
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