米民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員とジャック・リード上院議員は17日、スコット・ベッセント財務長官とパメラ・ボンディ司法長官に書簡を送り、トランプ大統領の一族が関与するDeFi(分散型金融)プロジェクト、ワールド・リバティ・フィナンシャル(WLF)に対する調査を要請した。
ウォーレン議員らは、北朝鮮・ロシア・イランの関連団体がWLFのガバナンストークン「WLFI」を購入した可能性があり、米国の国家安全保障を脅かす恐れがあると指摘。これは監視団体Accountable.USが9月に公表した報告書に基づくもので、同報告書ではWLFがトークンを「極めて疑わしい様々な組織に売却した」として、以下の具体例を挙げている。
議員らは、WLFはトークン販売を通じて「アメリカの敵と明確かつ露骨なつながりを持つ人々から資金を受け取り」、彼らにWLFのガバナンス方針への「発言権」を与えることで、国家安全保障上のリスクを高めたと非難した。
また、北朝鮮やロシアなど米国の敵対勢力とつながる関係者へのトークン販売報告は、WLFのデューデリジェンス方針や手続きに深刻な疑問を投げかけ、「同社のトークンやその他の製品が制裁回避、マネーロンダリング、テロ資金供与に利用される可能性もある」と指摘。同社には強力な制裁措置やマネロン対策が欠如していると主張した。
さらに、WLFが不動産をはじめとする資産のトークン化計画を検討していることに言及し、「違法な金融活動を助長するリスクがある」と警告した。
これに対し、WLFの広報担当者は、「WLFIガバナンストークンのすべてのプレセール購入者に対して業界最高水準のAML(マネロン対策)およびKYC(本人確認)を実施し、テストに合格しなかった購入希望者からの数百万ドルの申し込みは断っている」と反論した。
関連: トランプ一族の不動産資産トークン化、WLFIが計画明かす=報道
ウォーレン議員らは、トランプ家とWLFの密接な関係が、大統領直属のトランプ政権職員に金銭的利益相反を生じさせると批判した。トークン販売はトランプ家に直接利益をもたらす一方、コンプライアンス強化は利益を減らす可能性があるためだ。
書簡によると、トランプ家が所有する「DT Marks DeFi LLC」は、225億WLFIトークンを保有しており、WLFIトークン販売収益の75%を受け取る権利を持つ。議員らは「ガバナンストークンが販売されるたびに、資金の4分の3はトランプ大統領とその家族に直接渡る。北朝鮮やロシア関連団体への販売でも同様」と警鐘を鳴らした。
加えて、現在連邦議会で審議中のデジタル資産市場明確化法案では、「補助資産(ancillary asset)」という新たな分類が創設され、WLFIのようなガバナンストークンが既存規制の対象外となる可能性があると指摘。この法案が、トークン発行者に対して受益者情報などの記録・開示義務を緩和すれば、プラットフォーム上での不正資金活動の検知や摘発がさらに困難になると、強い懸念を表明した。
ウォーレン議員らは、WLFに対する可能な対応についての理解を深めるため、財務省と司法省に以下の情報提供を求めている。
ウォーレン議員は、民主党でも仮想通貨批判の急先鋒として知られ、今年4月には米証券取引委員会(SEC)に対して、トランプ大統領による利益相反やSECの判断への影響について回答を求める書簡を提出している。
また、10月にはトランプ大統領によるバイナンス前CEO、チャンポン・ジャオ(CZ)氏の恩赦を非難する決議案を起草し、トランプ大統領に対する利益相反追求の姿勢を一切崩していない。
関連: 米民主党ウォーレン議員ら、トランプ大統領のCZ氏恩赦を非難する決議案提出へ


