暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン( BTC )は前日比+3.4%の1BTC=92,331ドルに。
20日にかけて、88,000ドル付近から92,000ドル超まで回復した。
この反発は、エヌビディアが発表した第3四半期の予想を上回る決算と強気な第4四半期ガイダンスが主要因となっている。同社の好材料は、日本や米国株式市場におけるAI・半導体バブル崩壊への懸念を一時的に和らげ、リスク資産全体への投資家の信頼を回復させた。
また、米当局者がトランプ政権の半導体関税計画について、中国との貿易摩擦を懸念して延期される可能性が高いと述べこともポジティブに反応した。
仮想通貨の市場心理を示すFear & Greed Indexは11から15へと上昇したものの、依然としてそう悲観に相当する「極度の恐怖」ゾーンにとどまっている。
短期的には、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月9、10両日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の引き下げを見送るとの観測が浮上しており、規制の不確実性とマクロ経済要因が引き続き投資家センチメントに影響を与える見通しだ。
ビットコインは10月7日の過去最高値のピークから約30%下落し、調整局面入りしている。通常、このような急激な価格下落は収益が圧迫されたマイナー(採掘業者)による資金調達売りを引き起こすが、最新のオンチェーンデータは興味深い変化を示している。
CryptoQuantのデータによると、11月初旬にはマイナーによる大規模な売却が観測された。10月中旬の上昇局面では月間ネットポジション(実質保有量)が平均843BTCだったのに対し、11月7日から17日にかけては平均831BTCのマイナスに転じ、この水準で利益確定が進んでいた。
しかし直近の動きは対照的だ。過去7日間でビットコイン価格がさらに12%下落したにもかかわらず、マイナーは777BTCを追加保有し、30日間のネットポジションは再びプラス419BTCに転じた。これは最も財務状況が厳しいマイナーの降伏が完了した可能性を示唆している。
一方、市場全体では依然として厳しい環境が続いている。ビットコインなど仮想通貨ETFからの資金流出は5日連続となり、ブラックロックのIBITからは過去最大となる5億2300万ドルが1日で流出した。
K33リサーチのベトレ・ルンデ氏は、現在の下落が続けば84,000ドルから86,000ドル付近に妥当な底値がある可能性を指摘。ただし、売り圧力が高まれば今年4月のトランプ関税ショック時の安値である74,000ドル、あるいは2021年の最高値である69,000ドル付近まで下落する可能性も示唆している。
マイナーの売り圧力後退は市場における自然な売り手の減少を意味し、さらなる強制供給のリスクを軽減する。しかし、インフレと金融政策をめぐるリスクやリセッション(景気後退)懸念などマクロ経済の強い不確実性が続く中、自律反発の範疇に留まる可能性は否めない。足元のトレンド転換につながるかどうか慎重な見方が必要とみられる。
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