BitLendingが最高料率10%を出せる理由──J-CAM運営メディアIolite編集長に聞いた暗号資産レンディングの未来
日本発の暗号資産(仮想通貨)レンディングサービス「BitLending」(ビットレンディング)は、業界最高水準となる最大10%の料率と、Fireblocksを活用した堅牢なセキュリティ体制で支持を集めている。USDTやUSDCなどのステーブルコインも扱っており、投資家の注目度も高い。運営元のJ-CAM(ジェイカム)は、Webと紙の両媒体を持つメディア「Iolite」(アイオライト)も展開している。
今回は同メディア編集長の八木紀彰氏に、BitLendingが高料率を実現できる理由やFireblocksを活用したセキュリティの仕組み、海外展開や新サービスの展望について話を聞いた。
※本記事の内容は、正確性を期すためBitLending事業部の確認・監修を受けています。
——他社と比較した際、BitLendingの強みは何か
八木氏:魅力に感じてもらえる点はさまざまあると思うが、ご利用いただくきっかけとして最も多いのは、やはり最大10%という料率だろう。
DeFi(分散型金融)での運用というと、ほかの利用者への貸し出しに回され利息を獲得するという意味でのレンディングやステーキング、イールドファーミングが先に頭に思い浮かぶだろう。日本でイメージされるレンディングは一般的に、仲介事業者が暗号資産を預け入れてもらい、その暗号資産を取引所に貸し出すという仕組みを指すが、それらとはニュアンスが異なる。
当社のBitLendingは、お客様と消費貸借契約を結び、預かった暗号資産を外部パートナーが運用。その成果の一部を暗号資産のまま「貸借料率」として返還している。
そのため、当社のサイトでは「年利」ではなく「貸借料率」と明記している。元本に対する利息ではなく、消費貸借契約に基づき返還する料率だからだ。
——安定した利回りを提供するために、どのような戦略を取っているのか
八木氏:運用パートナーとポートフォリオの最適化に尽きる。
サービス開始から3年ほど経つが、これまでいろいろなポートフォリオと運用方法を試したと聞いている。暗号資産取引所などの事業者や運用会社の協力に基づき、独自の運用手法を採用しており、10%の料率を実現するのに十分な運用成績を上げている。
運用パートナーについては公開していない。ここが当社の事業の中核でもあり、差別化されているポイントだからである。
——暗号資産のレンディングサービスは、セキュリティが最も重要だ。預かった資産をどのように保護しているのか
八木氏:Fireblocksのセキュリティソリューションを導入している点は、メディアという中立な立場から見ても信頼に足るものだと考えている。
秘密鍵を分離させる「MPC(Multi-Party Computation)」という仕組みがあるが、Fireblocksはそれを独自で開発し、特に埋め込み型ウォレットのユースケースに適した「MPC-BAM」といった仕組みを持っている。秘密鍵を複数の断片に分割して、当社とFireblocks社が分散して保管している。
顧客から預かった暗号資産を動かすには、Fireblocks側の承認も必要であるため、カウンターパーティリスクは極めて低いと言えるだろう。
また、「Collateral Vault Account(CVA)」という技術も特徴的だ。Fireblocksからウォレットを発行してもらい、Fireblocksの環境下でそのウォレットを管理している。当社が保有する暗号資産をCVAに保管したまま、その残高を担保として提示することで、実際に取引所に資産を移動させることなく取引が可能となる仕組みだ。
「ウォレットの暗号資産をパートナーに預けたら意味がない」と思うかもしれないが、これをミラーリングしてトレードしている。CVAをミラーリングできる対象の取引所は、グローバルにいくつかある。例えば、Deribit(デリビット), Bybit(バイビット)、Bitget(ビットゲット)、Gate,io(ゲート・アイオー)などだ。
この仕組みはOff-Exchange機能と呼ばれる。仮に取引所が破綻したりハッキングを受けたりした場合でも、預けた資産が失われるリスクは大幅に減る。
——他社ではレンディングサービスが破綻した事例もある
八木氏:そうした破綻の背景には、不透明な運用実態や過剰なリスクテーク、資産管理の杜撰さがあったと考えている。これらは利用者からの信頼を根底から損なうものであり、業界全体に大きな影響を与えてしまった。
繰り返しになるが、当社はFireblocksを導入することで利用者保護を強化している。
ちなみに、私が編集長を務めるIoliteもBitLendingも当社の別事業として運営されているため、BitLendingの顧客獲得のためにIoliteを使えないかという相談がよくあった。
しかし、メディアとしてフェアなジャッジを取るために、大々的な掲載はしてこなかった。その後、Fireblocksの導入によって安全性を確認できたことで「この仕組みなら大丈夫だ」と思うに至り、現在はPRページの掲載を認めている。このあたりの線引きはしっかりとしているつもりだ。
——BitLendingの立ち上げ時の話を聞きたい
八木氏:事業開始は2022年2月で、海外にレンディングサービスがあるのを知り、国内でできないかと社内で検討が始まった。当初はスモールスタートだったが、預かり資産が数カ月で期待以上に増え、「これはいける」と、アクセルを踏んだような形だ。初期ユーザーは暗号資産を長期保有している層が多く、少額の利用が中心だったと思う。
── 今後のロードマップを聞かせてほしい
八木氏:グローバル展開を見込み、ドバイの規制当局VARA(バラ)にライセンスを申請中だ。取得には時間がかかるので時期は未定だが、ライセンス取得を足掛かりとして、グローバルへのサービス拡大を視野に入れている。
──WebXに参加した目的と反応は。国内市場のどこに注目しているのか
八木氏:スポンサーとしてステージを持ち、ユーザーとの接点を得られたのは大きな収穫だった。「サービスを詳しく知りたい」という声も多く寄せられた。Ioliteのブースでは、雑誌を発行しているという独自の立ち位置を示せたと思う。
Web3ではRWA(現実資産)のトークン化やステーブルコインが注目されているが、私が重視するのは国内規制の下で「収益化できるか」という点だ。
特に現在の日本において、ブロックチェーン関連事業は高い収益性を持つことが難しく、スタートアップが生まれにくい面がある。生成AIの盛り上がりと比べると顕著だ。
金融庁に認可された日本円ステーブルコイン「JPYC」も、決済事業者や発行体がどのように収益モデルを築くのか、後続がどう追随するかに興味を持っている。
|インタビュー:CoinDesk JAPAN広告制作チーム
|構成・文:瑞澤 圭
|撮影:多田圭佑
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