米政府閉鎖危機に警戒感募る中ビットコイン反発、SECの新基準はアルトコインETFに追い風
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン( BTC )は前日比+2.56%の1BTC=114,666ドルと反発した。
デリバティブ市場では、3億3000万ドル以上のショートポジションがロスカット(強制清算)された。
米国議会が資金調達で合意できなければ、連邦政府の大部分が機能停止に陥る可能性が高まっている。政府閉鎖が現実となれば、労働統計局などの経済データを扱う機関の活動が停止し、今週金曜日に予定されている雇用統計の発表も延期される見通しだ。
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この危機の背景にはトランプ大統領率いる共和党と民主党の激しい対立がある。下院共和党が11月中旬までの予算案を可決したが、上院民主党はオバマケアの補助金保護が不十分で、医療保険制度と社会保障制度の削減につながるとして拒否している。
雇用統計は連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策を占う重要な指標であり、この情報を頼りに取引を行うビットコイントレーダーにとって、データの欠如は市場の方向性を見失わせる深刻な問題となる。過去には2013年10月の政府閉鎖で、9月の雇用統計が22日間も遅れて発表された前例がある。
JPモルガンのトレーディングデスクは顧客に対し、政府閉鎖が長期化すれば米国の信用格付けがさらに引き下げられるテールリスクがあると警告した。格付け引き下げが実現すれば米国債利回りが上昇し、企業の借入コストを押し上げるとともに、株式市場やビットコインなどのリスク資産全般に打撃を与える可能性もある。
さらに市場の不安を高めているのが、9日に発表された改定雇用統計だ。3月までの雇用者数の増加幅が当初発表から91万1000人も下方修正され、米国経済の減速懸念が強まった。加えてコアインフレ率が3.1%に加速しており、景気後退と物価高が同時進行するスタグフレーションへの警戒感が市場に広がっている。
仮想通貨デリバティブ取引所ビチュニックスのアナリストは、こうした経済指標のデータ遅延が市場の脆弱性を高めると警告している。利下げへの期待、政治的混乱、市場の不安感が入り交じることで、ビットコインをはじめとするリスク資産に急激な変動をもたらす可能性があるという。
現在ビットコインは約114,000ドルで取引されており、市場のムードはわずかに上向きながらも先行き不透明な状態が続いている。
資産運用会社CoinSharesの 週次レポート によれば、先週の上場投資商品(ETP)への資金流入は、計8億1200万ドルの資金流出を記録していた。
内訳はビットコインから7億1900万ドル、イーサリアムから4億900万ドルが流出している。一方でSuiやCardanoなどのアルトコインファンドへは小規模な資金流入があり、流出の一部を相殺した。
報告書では「デジタル資産投資商品の8億1200万ドルの流出は、予想を上回る強いマクロ経済データを受けて、2025年の米国利下げ観測が後退したことが背景にある」と指摘している。経済の底堅さが明らかになったことで、FRBの金融緩和ペースが鈍化するとの見方が広がり、資金引き揚げにつながったと見られる。
一方、米証券取引委員会(SEC)が導入した新たな一般上場基準は好材料だ。
現在100件を超えるアルトコインETFの申請が規制当局の承認待ちとなっており、この新基準の適用により、これまで停滞していた商品が一斉に市場へ流入する可能性がある。
29日の報道では、SECがすでに発行会社に対し、エックスアールピー(XRP)、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、ドージコイン(DOEG)といった主要アルトコインのETFに関する届出を一度撤回するよう要請していることが明らかになった。この要請は、これらのETFが旧来の個別審査ではなく、新たな一般基準に基づいて承認される見通しであることを示唆している。
新基準の導入により、従来は個別に厳しい審査を受けていたアルトコインETFが、統一された明確な基準のもとで評価されることになる。これは暗号資産業界にとって規制の透明性が向上することを意味し、機関投資家の参入障壁を大きく下げる要因となり得るだろう。
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