アーサー・ヘイズが7.5億円相当のHYPEを売却、その理由は?
著名暗号資産(仮想通貨)アナリストのアーサー・ヘイズ氏が、個人で保有していたHyperliquidのHYPEトークン全てを売却していたことがわかった。
ブロックチェーン分析サービスLookonchainは21日、ヘイズ氏が96,628 HYPE(約510万ドル=7億5,000万円相当)を売却し、1ヶ月で約82万3,000ドル(約1億2,150万円:19%)の利益を上げたと報告した。
ヘイズ氏は8月25日、東京で開催された大型Web3カンファレンス「WebX」で、HYPEが今後数年間で現在の価値の126倍まで上昇する可能性があると強気の発言をしたばかりだった。
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ヘイズ氏は22日のXへの投稿で、HYPEを売却した理由はフェラーリの新車「849 Testarossa」の頭金に充てるためだと冗談めかして説明。また別の投稿で、同氏が運営するベンチャーファンド「Maelstorm Fund」の記事に言及し、Hyperliquidが近いうちに「大きな試練に直面する可能性」を理由として挙げた。なお、HYPEが126倍になると予測した2028年にはまだ間があるため、心配することはないと付け加えている。
HYPEは、急成長を遂げた分散型デリバティブ取引所Hyperliquidのネイティブトークン。HYPEの主な用途は、ガバナンス投票やステーキングに加え、取引所の収益構造にも組み込まれている。取引手数料収益の多くがHYPEの買い戻し(バイバック)に充てられる設計となっており、DEXの利用が増えるほど収益が高まり、ステーキング参加者に還元される仕組みとなっている。
ヘイズ氏の売却後、仮想通貨市場の急落に伴い、HYPEは約18%下落し、執筆時現在約6,736円で取引されている。
また、大口投資家(クジラ)が約239万のHYPEトークン(1億2,200万ドル=180億円相当)を引き出したことが観測された。Lookonchainによると、このクジラは9ヶ月前にHYPEを約12ドルで購入しており、約9,000万ドル(132億9,000万円)の利益を確定させたようだ。
Maelstorm Fundが22日に投稿した記事「HYPEのダモクレスの剣」(古代ギリシャの故事:栄華の中にも危険が迫っていることの例え)では、11月からHYPEトークンの大量アンロックが開始され、驚異的な成功を収めたHyperliquidに「真の試練の時」が迫っていると警告している。
Maelstormによると、2025年11月29日から、合計2億3,780万個のHYPEトークンが、24ヶ月かけて段階的にアンロックされる予定となっている。
1トークンあたり50ドルとすると、総額約119億ドル(約1兆7,560億円)、毎月約5億ドル(約738億円)が市場に流れ込む計算となる。
Maelstormが問題視しているのは、現在の水準でHyperliquidが買戻し可能なのは、この供給量の17%に過ぎない点だ。その結果、毎月4億1,000万ドル(約605億円)の余剰供給が発生すると推定。「市場はこのアンロックの規模を織り込んでいるのだろうか」と問いかけ、大きな売り圧が生じる可能性を示唆している。
また、「人生を変えるほどの金額のトークンの権利」が与えられた同プロジェクトの開発者が、ワンクリックで売却可能ならば、そのチャンスを逃すだろうかと付け加えた。
さらに、HYPEトレジャリー戦略を立ち上げ、5億8,300万ドル相当のHYPEトークンと3億500万ドル超の現金を保有するSonnetのような仮想通貨トレジャリー(DAT)企業が増加したとしても、間近に迫ったHYPEアンロックに比べれば、ごくわずかな額に過ぎないと指摘した。
Maelstormは、ビジネスとは戦争であり、これまで仮想通貨プロダクトは短命で終わってきたと指摘。「成功すれば、たちまち吸血鬼たちの攻撃を受ける」ような激しい競争が待っていると述べた。
BNB Chainを基盤とする分散型永続契約(Perpetual Futures)取引プラットフォーム「Aster」は、9月17日にトークン生成イベント(TGE)が行われ、価格は約10倍に高騰し時価総額20億ドルを突破。急速にHyperliquidのライバルとして台頭してきた。
大手仮想通貨取引所バイナンスの創設者 チャンポン・ジャオ(CZ)氏が、Asterを高く評価する発言をしたことも追い風となった。
Maelstormは、 HYPEがアンロックされる2ヶ月も前に、CZ氏がAster推しの姿勢を見せたことは偶然ではないと主張している。
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