ビットコイン建て分散型予測市場の魅力とは? 研究者が提唱
コンピューターサイエンティスト兼コンサルタントのフェドル・シャバシェフ氏は16日、分散型予測市場の決済を暗号資産(仮想通貨)ビットコイン( BTC )で行うことを提唱する論文を発表した。
シャバシェフ氏は、現在の予測市場のほとんどはUSDCのようなステーブルコイン建てであることを指摘する。
その問題点として、ユーザーが、法定通貨による無リスク金利に対する機会費用に直面すること、また、ビットコイン保有者は資産をステーブルコインに変換する際にビットコインのエクスポージャーを失うことを挙げた。
ステーブルコインにより、ボラティリティ(価格変動の大きさ)を回避できるものの、長期的にビットコインが値上がりした場合は、機会損失になる形だ。これを解決するため、シャバシェフ氏はビットコイン建ての予測市場を提案している。
なお、予測市場大手ポリマーケットが2025年に、年利4%の「保有報酬」を長期的な市場のいくつかで導入したことにも触れた。こうした報酬がなければ、たとえば米ドルを保有していた場合の米国債利回りなどの機会も逃すと述べている。
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シャバシェフ氏は、ビットコイン建て予測市場に流動性を供給する方法として、以下の3つの方法を検討し、それぞれのメリットとデメリットを次のように分析した。
クロスマーケットメイキングは、ステーブルコイン市場のヘッジとミラーリングを行うもので、自動マーケットメイキングは、流動性プール内の資産の数量に相対価格を関連付ける価格設定ルールを設定するものだ。
清算リスクが排除されるため、ユーザーにとってリスク面では最も安全だが、プロのマーケットメーカーの積極的な運用が必要だ。
自動マーケットメーカー(AMM)は展開はシンプルに行うことができるが、流動性提供者にとって恒久的損失リスクがあり、トレーダーにとってスプレッド面で効率が低くなる。
DeFi(分散型金融)による取引のリダイレクトは、合成エクスポージャーなどを通じて既存のステーブルコインの流動性を活用するものである。展開が容易で既存のDeFiインフラと連携しやすいものの、予測市場の結果とは無関係にユーザーを担保によるリスクに晒す欠点がある。
シャバシェフ氏は、ビットコイン建ての予測市場は実現可能であり、多くの状況で魅力的だと結論した。一方で、流動性を提供する方法については慎重な設計が必要だとしている。
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