京都でIVS2026が開催されました。今年のIVSでは「IVS2026 CRYPTO ZONE Powered by NADA NEWS」が設置され、暗号資産、ステーブルコイン、オンチェーン金融を中心に、国内外のプレイヤーによる展示やセッションが行われました。
CryptoはIVSの中で、ずっと同じ顔をしてきたわけではありません。2022年に那覇で始まったIVS Cryptoは、かなりWeb3の熱狂そのものに近いイベントでした。2023年には京都の街を巻き込み、2024年にはJapan Blockchain Week Summitと重なって、国内外のWeb3関係者が集まる大きな場になりました。ところが2025年は、Crypto単独の看板が強く出ていた年ではありません。そして2026年、Crypto Zoneとしてもう一度戻ってきた。
ただ、戻ってきたCryptoは、昔と同じ顔ではありません。
2022年、那覇にはWeb3の熱があった
IVS Cryptoの大きな出発点は、2022年のIVS Crypto 2022 NAHAです。IVSが提供する初のクリプトカンファレンスとして開かれ、コンセプトは「The Future Has Arrived」。Polygon、OpenSea、Animoca Brandsなど、当時のWeb3を象徴する名前が並び、NFT展示、NFTオークション、VRアーティストによるパフォーマンスも行われました。
いま振り返ると、2022年のWeb3には、なんとなく未来感がありました。NFT、メタバース、DAO、ブロックチェーンゲームという言葉が並ぶだけで、まだ見たことのないインターネットが来るような気がした。もちろん、そこには投機の熱もありました。NFTを買えば上がるかもしれない、ゲームをすれば稼げるかもしれない、新しいトークンに早く触れれば大きなチャンスがあるかもしれない。きれいごとだけではありません。
でも、その少し危うい熱まで含めて、人を動かしていたのだと思います。
2023年、京都の街がWeb3の会場になった
2023年のIVS2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTOで、舞台は京都に移ります。この年に印象的だったのは、Web3が会場の中だけで終わらなかったことです。世界遺産の二条城を貸し切ったOasys Special Event、八坂神社で開催されたAzuki Kyoto Gardenなど、サイドイベントが京都の街に広がりました。公式発表では60以上のサイドイベントが予定され、100を超える開催を目標にしていたとされています。
この年のIVS Cryptoは、かなり「街フェス」に近かったと思います。京都のあちこちでWeb3の人たちが集まり、ゲーム、NFT、IP、海外プロジェクト、投資家、起業家、コミュニティが混ざっていく。日本は暗号資産の規制が厳しい国として見られがちですが、アニメ、ゲーム、キャラクター、ファン文化の強さがあります。
Web3はまだ、街の景色ごと変えられるように見えていました。
2024年、Web3は厚くなったぶん、少し雑多になった
2024年のIVS Crypto 2024 KYOTOは、Japan Blockchain Week Summitと一体になり、「Cross the Boundaries」をテーマに開催されました。IVS2024 KYOTOとIVS Crypto 2024 KYOTOは同時開催され、参加者は過去最大の1.2万人、サイドイベントは300以上に広がっています。
この年は、2023年の延長線にあるようで少し違います。海外Web3プレイヤーに加え、ゲーム、IP、メディア側の名前も並び、行政や金融の関係者も入っていました。Web3はNFTやゲームだけでなく、産業ごとにどこまで入れるのかを試す段階に見えました。
太秦映画村で行われたMemeland関連のレセプションも、この年らしい出来事です。東映太秦映画村で、サムライの殺陣ショーやエヴァンゲリオン京都基地の限定公開まで絡めたイベントが行われました。2023年の二条城、八坂神社に続き、2024年は太秦映画村。京都の使い方としてはかなり強いし、当時のWeb3らしい派手さがありました。
ただ、テーマが広がるほど、Web3の輪郭は少しぼやけます。2024年は、Web3が大きくなった年であり、同時に少し散らかった年でもあったのかもしれません。
2025年、Cryptoの看板は一度薄くなった
2025年のIVSは、さらに違う空気になります。IVS2025は「Reshape Japan with Global Minds」をテーマに、過去最大の1.3万人が参加しました。公式レポートでは、AI、Entertainment、Deeptech、Global、Japan、Seed、Growthの7つのテーマゾーンが設置され、300社が出展するStartup Marketなどが強調されています。
ここで記憶に強く残るのは、Cryptoが大きな単独看板として前に出ていないことです。IVS全体の主役は、AI、グローバル展開、ディープテック、資金調達、事業連携のようなテーマへ移っていました。
これは、Web3が終わったという話ではないと思います。「Web3だから面白い」と言えば人が集まる時期が、一度落ち着いたということです。AIの中に入るのか、エンタメの中に入るのか、金融の中に入るのか。2025年のIVSでは、Cryptoは特別席から少し離れ、他の産業の中でどう使われるのかを見られる側に回ったように感じます。
祭りの中心から、事業の部品へ。
2026年、戻ってきたCryptoは金融に近付いた
そして2026年、Crypto Zoneが戻ってきました。けれど、今回の中心はNFT展示やVRパフォーマンスではありません。Crypto特化ステージでは、法規制、技術トレンド、ビジネスモデルまで深く扱うとされ、Crypto/Web3スタートアップ展示では、暗号資産、DeFi、決済インフラ、セキュリティなど次世代金融に関わる領域が並びます。
2026年のCryptoは、2022年の時よりも少し地味に見えるかもしれません。けれど、話している場所はむしろ深くなっています。ステーブルコイン、RWA、オンチェーン金融、税制、制度。どれも、ただ未来っぽいから盛り上がるテーマではありません。実際のお金や資産の流れに近づくほど、発行体、裏付け、償還、流動性、セキュリティ、法令対応のような地味で重い話が避けられなくなります。
でも、そこに来たからこそ面白い。
未来っぽさの次に来るもの
IVS Cryptoを振り返ると、Web3の熱は消えたのではなく、置き場所を変えてきたように見えます。最初は、Web3そのものが主役でした。次に、その熱は京都の街へ広がり、二条城や八坂神社、太秦映画村まで巻き込みました。その後、Cryptoの看板は一度薄くなり、IVS全体の中でAIやエンタメやグローバル展開と並ぶ、一つの事業領域として見られるようになりました。
そして今年、Cryptoは戻ってきました。
ただし、戻ってきたのは、昔と同じCryptoではありません。派手な絵や体験で驚かせるというより、ステーブルコインやRWA、オンチェーン金融のように、現実のお金や資産に近い場所を見ています。
未来っぽいから面白い、ではなくなってきた。
2022年の熱狂が間違っていたわけではありません。あの熱があったから、人が集まり、街に広がり、産業と混ざり、いまのCrypto Zoneにつながっています。ただ、今年のCryptoはもう、夢だけで走る段階にはいません。
IVS2026で戻ってきたCrypto Zoneは、昔のWeb3祭りの続編というより、少し成熟して大人になったCryptoの再登場なのかもしれません。
※本記事は、公開情報をもとに暗号資産・ブロックチェーン関連ニュースを整理した一般的な情報提供であり、特定の暗号資産の売買を推奨するものではありません。
参考文献
・IVS Crypto 2022 NAHA 開催発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000059319.html
・IVS2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTO サイドイベント発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000059319.html
・IVS2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTO 開催直前発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000103.000059319.html
・IVS Crypto 2024 KYOTO with Japan Blockchain Week Summit 開催発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000119.000059319.html
・IVS2025 開催レポート
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000198.000059319.html
・IVS2026 CRYPTO ZONE Powered by NADA NEWS 発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000047016.html