暗号資産(仮想通貨)に特化した資産運用企業コインシェアーズ(CoinShares)は5日、市場レポートを公開して、最近の仮想通貨の弱気相場の原因は構造的な変化ではなく、センチメント(市場の心理)の悪化であるとの見方を示した。
イラン情勢やAI(人工知能)領域への投資マネーの集中、ストラテジー社のビットコイン(BTC)売却など、センチメントを悪化させている材料を挙げながらも、ビットコインの長期的な価値が下がるわけではないと主張している。
コインシェアーズはレポートの冒頭で、5日までの約4週間でETFなどのデジタル資産投資商品全体から約58億ドル(約9,292億円)の資金が純流出したと報告。この一連の週次の流出ペースは過去約1年間で最速であると説明した。
一方で、このような資金流出があっても、デジタル資産の相場は年初来では、横ばいに近い状態で推移していると指摘。その上で、現在の弱気相場の原因はセンチメントの悪化であるとの見方を示している。
具体的な材料については、まずは最も直接的な影響をセンチメントに与えているのはイラン情勢だと説明。米国とイランの和平交渉における動向は、市場が望んでいたよりも解決が困難であることを示しているとした。
さらに、イラン情勢は米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の見通しにも影響を与えていると指摘。2カ月前までは2026年に1回(0.25%)から2回(0.5%)の利下げがあると市場は織り込んでいたが、レポート執筆時点では約0.4%の利上げがあると市場は予想しており、この見通しもビットコインの価格上昇を抑えていると述べている。
また、AI領域に資金が流れ、ビットコインなど他の資産から流動性が移っていることも指摘。一方、この点については、AI関連企業が設備投資に見合う利益を得られるのかを注視すべきだとし、バブルへの懸念も示した。
他にもコインシェアーズは、世界最大のビットコイン保有企業ストラテジー社の32BTC売却がセンチメントに影響していると指摘。一方で、売却における最悪のシナリオでも、サトシ・ナカモトの休眠状態のビットコインと同様、市場全体に影響が波及する規模ではないとの見方を示した。
なお、ストラテジー社は、コインシェアーズのレポート公開後に、ビットコインを買い増ししたことを発表している。
レポートでは、ビットコイン価格が6万ドル付近からさらに下落することは考えにくいとの見方を示した。センチメントは明確に悪化しているが、それでもビットコインの長期的な価値には影響はないと主張している。そして、長期的とは、1年以上先を指すと説明した。
また、今後については、イラン情勢が解決し、FRBの政策金利の見通しが変化するまでは、ビットコインは本格的には上昇しないだろうとも分析。これから注目すべき直近のイベントについては、欧州中央銀行(ECB)とFRBの金融政策決定会合を挙げた。
なお、レポートでは他にも、AIと同様に次はトークン化に注目が集まる可能性があると予測している。すでにステーブルコインの供給量が増加しており、米仮想通貨市場構造法案(クラリティー法案)が法制化されれば、普及が加速すると分析した。

