米国の第2巡回区控訴裁判所は12日、破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのサム・バンクマン=フリード前CEOの有罪判決を支持した。
サム氏は、2024年3月に地方裁判所で詐欺、共謀、資金洗浄に関連する7つの罪状により25年の懲役を言い渡された。しかし2024年9月には、判決を不服として控訴。サム氏の弁護側は、FTXには「最終的には投資家に損失を与えない十分な資産があった」と主張していた。
また、損失を与える意図がなかったことを証明する証拠を提出することが妨げられたとも訴えている。今回、控訴裁判所の3人の判事は、こうしたサム氏側の主張を退けた格好だ。
地方裁判所の証拠に関する判断や証拠開示に関する決定などに誤りはなく、サム氏に命じられた約110億ドル(約1.8兆円)の財産没収も正当であり、憲法上過剰ではないと判断している。
第一審では、サム氏の側近による証言が決定的な役割を果たした。控訴裁判所は、こうした証言による証拠は強固なものだと判断した。
例えば、FTXの姉妹会社だったアラメダリサーチのキャロライン・エリソン前CEOは、サム氏の指示によりFTXの顧客資金をアラメダリサーチの債権者への返済に充てたことや、資産を実際よりも多く見せる虚偽の貸借対照表を送付したことに関して証言している。
また、FTXのゲーリー・ワン共同創設者は、アラメダリサーチがFTXから無制限に資金を引き出せるようにFTXのシステムコードを調整していたことや、サム氏が「顧客資金は安全だ」と公に嘘をついていたことについて話していた。
サム氏側は「投資家に損失を与えない十分な資産があった」ため、損失を与える意図がなかったとも申し立てていたが、今回の裁判ではこの点についても反論が行われた。
この際には、2025年の最高裁判所の判例である「Kousisis v. United States」が参照されている。この裁判では「虚偽の説明を用いて被害者を欺き、金銭や財産を引き渡させる契約を結ばせた時点で連邦詐欺罪が成立する」と明確にされた。
つまり、後から被害者の損失を補填しようとしていたかどうかという点については焦点にならないとしている。
また、サム氏が顧客に対して資金の安全を保証しながら、実際には数十億ドルの顧客資金をアラメダリサーチなどに流用し、損失補填、政治献金、個人の不動産購入などに使用されていた点が改めて問題視された。
サム氏は8日、米司法省にドナルド・トランプ大統領への恩赦嘆願書も提出している。この際にも、FTXの元顧客が資産の100%以上を返済されることを強調していた。
ただし、顧客への返済は仮想通貨現物ではなく、2022年11月時点でのレートによる米ドル相当額で支払われている。このため、債権者は仮想通貨のここ数年の大幅上昇の恩恵は受けられていない。

