JPモルガンのアナリストらは5日、「オルタナティブ投資の見通しとストラテジー」というレポートを発表。デジタル資産トレジャリー企業最大手ストラテジーがビットコイン売却に関する市場の懸念を軽減するためには、ドル準備金の積み増しが必要になる可能性があると述べた。
マネージングディレクターのニコラオス・パニギルツォグル氏率いる同社のチームによるレポートである。
ストラテジーは、5月下旬に32BTCを売却した。JPモルガンのアナリストらは、これが必要に応じて売却する柔軟性を株主に示すための動きであったとしても、市場を「動揺させた」と指摘した。
ストラテジーが配当金支払いのためにさらにビットコインを売却するのではないかという市場の懸念を払拭するためには、ドル準備金の積み増しが必要になるかもしれないと見解を述べている。
アナリストらは、ストラテジーの現在のドル準備金は配当金の約6.3か月分しか賄えないと分析。このことが投資家の懸念をさらに高めていると指摘した。
ストラテジーは昨年12月に配当などに充てるため株式売却益などにより米ドル準備金を設置。2026年5月25日時点でストラテジーの米ドル準備金は約8億7,100万ドル(約1,350億円)である。
ストラテジーは、32BTCを優先株の配当支払いに充てるために売却したが、その後も「純ビットコイン保有量」や「一株あたりビットコイン」を増やす立場を維持すると強調しているところだ。7日には新たな購入も示唆した。
JPモルガンのアナリストらも、ストラテジーが今後もビットコインの購入を継続すると予想。年初からのペースが続いた場合、2026年には約320億ドル(約5兆円)相当のビットコインを購入するだろうと推測した。これは、2025年と2024年の約220億ドル(約3.5兆円)を上回る額となる。
JPモルガンのアナリストらは今回、仮想通貨市場に対する見方を「慎重」とした。2月時点のレポートでは機関投資家主導による資金流入増加を予想して「オーバーウェイト(市場平均より多めの保有を推奨)」かつ「ポジティブ」な見通しを示していたが、これを変更した格好だ。
仮想通貨市場構造法案「クラリティ法」の停滞や、ビットコインが今年に入ってから推定生産コストを下回る価格で取引されている傾向などを、慎重な姿勢に変えた要因として挙げている。
また、仮想通貨への資金流入が弱まっていることも指摘。年初来の仮想通貨への資金流入総額を約220億ドル(約3.5兆円)と推定。年間換算では約520億ドル(約8.3兆円)と推計され、これは2025年の約半分に相当する水準だと述べた。
今年の下半期に仮想通貨市場が上向きになるための材料としては、ストラテジーが年間17億ドル(約2,700億円)の配当支払いを履行するための戦略を明確にすること、およびクラリティ法が可決されることを挙げている。同法案が今年中に可決される可能性は50%未満との見方も示した。
また、仮想通貨全般の見通しとして、法定通貨の下落ヘッジに備えて仮想通貨を買う取引は沈静化していると分析。DeFi(分散型金融)についても、セキュリティリスクや成長が期待外れだったことが、機関投資家にとっての魅力を抑制していると述べた。
イーサリアム(ETH)を始めとするアルトコインについては、ネットワーク活動の活発化と実社会での普及が進まなければ、ビットコインを大きく上回る可能性は低いとの見解を示している。