バーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレン両上院議員と下院教育・労働委員会の筆頭野党メンバーであるボビー・スコット下院議員は6月1日付でキース・ソンダーリング労働長官代行に書簡を送付し、米労働省(DOL)が提案する401k退職金口座への代替資産解禁規則案の撤回を求めた。書簡の内容はガーディアン紙などが報道した。
問題の規則案は、DOLが3月30日に公表したもので、401k運用責任者が仮想通貨、プライベートエクイティ、不動産などの代替資産を投資対象に組み込む際に法的免責を受けられる「セーフハーバー」を設ける内容だ。トランプ大統領が署名した大統領令に基づく措置で、約9,000万人の米国人が加入する401kを含む14.2兆ドル規模の確定拠出型年金市場が対象となる。
3人の議員は書簡の中で、規則案が「長年にわたって積み重ねられてきた投資家保護を退職貯蓄者から剥奪し、よりリスクが高く複雑で費用のかかる投資の利用を促す」と批判した。
仮想通貨のボラティリティの実例として、トランプ大統領自身のミームコインが2025年1月の就任式に前後して75ドル超の最高値を付けた後、現在は約2ドルまで下落していることを挙げた。
議員らはFBIの報告書を引用し、2025年に報告された仮想通貨関連詐欺の損失が110億ドル超と過去最高を記録したと指摘した。金融規制機関FINRAも、仮想通貨投資は従来型資産と比較してより高いボラティリティを経験しており、全額損失のリスクが大きいと警告している。
経済協力開発機構(OECD)のデータによれば、米国の高齢者の22.8%が貧困状態にある。消費者擁護団体「アメリカズ・フォー・ファイナンシャル・リフォーム」のシニアポリシーアナリスト、オスカー・バルデス・ビエラ氏は「401kをこうした商品に開放することは、労働者の退職貯蓄を、現金を求める業界に生命線を投げ渡すねずみ講まがいの仕組みに変えるリスクがある」と述べた。
さらに議員らはトランプ家の利益相反も問題視した。トランプ大統領の成人した子息らが管理するデジタル通貨事業は、独自トークンの発行などを通じてウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば約50億ドルの資産を積み上げたとされる。書簡は「こうした重大な利益相反がある中でDOLが提案した規則は、一般労働者や退職者を犠牲にして大統領の利益を押し上げる可能性がある」と指摘している。
一方、ソンダーリング労働長官代行は「労働省が勝者と敗者を選ぶ時代は終わった。規則は運用責任者が慎重なプロセスを踏んで全ての候補商品を評価することを明確に定めている」と述べたという。