米国最大の取引量を持つ予測市場プラットフォーム、カルシ(Kalshi)は5月28日、ミネソタ州連邦地方裁判所に訴状を提出した。ティム・ウォルズ知事が先週署名し8月1日の施行が定められた予測市場禁止法に対し、同州司法長官キース・エリソンら州政府当局者を被告として、法の執行差し止めと仮差し止め命令を求めている。
今回の訴状でカルシは、連邦法が州法に優位する「連邦優位条項(Supremacy Clause)」の違反を主張。訴状によれば、8月1日以降、カルシがCFTC登録の指定契約市場(DCM)として連邦法上適法に提供するイベント契約を継続すれば、「ミネソタ州では重罪(フェロニー)を犯したと見なされる」という。同社はまた、ミネソタ州内での事業継続を制限するための技術的対応コストは回収不能であり、50州をカバーする取引所としての事業継続に不可逆的な損害が生じるとしている。
ミネソタ州法は、予測市場の開設・運営・販促を重罪と定める米国初の州法とされる。同法は予測市場プラットフォームが急速に普及する中で成立した。カルシやポリマーケットといった主要プラットフォームは時価総額が数十億ドル規模に達しており、選挙・スポーツ・国際情勢など実世界の出来事を対象とした取引が可能だ。
カルシの提訴に先立ち、司法省(DOJ)と米商品先物取引委員会(CFTC)はウォルズ知事の署名から24時間以内にミネソタ州を提訴していた。CFTCのマイケル・セリグ委員長は「CFTC登録取引所は、米国民がイベント契約にアクセスする権利とCFTCの独占的管轄権を掘り崩す訴訟の集中砲火にさらされている。この権限奪取は法律と数十年の先例を無視している」と述べた。
CFTCはこれに先立ち、2026年4月2日にイリノイ・アリゾナ・コネチカットの3州を連邦地裁に提訴、4月24日にはニューヨーク州南部地区地方裁判所にも訴状を提出している。ロードアイランド州当局が先週カルシとポリマーケットに対して提訴した件でも、CFTCは木曜日に同州への対抗訴訟を起こしており、CFTCが提訴した州は少なくとも7州に達した。
各州はスポーツ賭博など州の管轄とする賭博法に予測市場が抵触すると主張している。一方CFTCは、連邦法によりイベント契約に関する独占的権限はCFTCに与えられており、州による規制は連邦法に違反するとの立場を一貫して維持している。
ドナルド・トランプ大統領は5月27日、自身のソーシャルメディア「Truth Social」への投稿で、CFTCが予測市場への独占的規制権限を維持することが不可欠だと述べた。複数州の動きを強く批判し、CFTCのセリグ委員長が「誰もが認める仕事をしている」と評価している。
トランプ大統領はまた、米国を仮想通貨の「世界の首都」と位置づけ、連邦政府として仮想通貨を「主要産業」として保護する方針を示した。
ただ、トランプ大統領の姿勢は一時揺れていた。先月、米軍人が予測市場で機密情報を用いて数十万ドルの利益を得たとして逮捕された事件を受け、トランプ氏が予測市場について「そもそも賛成ではなかった」と記者団に語ったことがある。その数日後、米メディアの報道によれば、トランプ大統領は業界関係者が現状に「かなり満足している」と知っていると述べ、発言を修正したという。