トランプ米大統領の最高仮想通貨顧問を務めるパトリック・ウィット氏は、13日にニューヨークで開催されたイベントにて、仮想通貨市場構造法案である「クラリティー法案」の成立に向けた合意が最終段階に達したとの認識を示した。複数の海外メディアが13日に報道した。
ウィット氏は、かつて「解決不可能」と思われた主要な論点の多くが解消され、法制化に向けたハードルが大きく下がったことを強調した。
一方で、法案の最大の焦点となっているステーブルコインの利回り(報酬)提供を巡り、全米銀行協会(ABA)は13日、ホワイトハウスの大統領経済諮問委員会(CEA)が公表したリスク否定レポートに対して異議を唱える分析結果を公表した。
ABAは、報酬付きステーブルコインの普及が地域銀行からの預金流出(デポジット・フライト)を加速させ、地方での融資能力を大幅に毀損する可能性があると改めて警告している。
現在の規制案では、ステーブルコイン発行体が保有者に対して直接利息を支払うことは禁止されているものの、コインベースのような第三者プラットフォームを通じた報酬提供の可否については解釈が分かれている。仮想通貨業界はこうした報酬制限がイノベーションを阻害すると反発する一方で、伝統的金融機関は銀行預金という基盤を脅かす不公平な競争環境であると主張し、激しい議論が続いている。
ホワイトハウスのレポートは、現在の約3,000億ドル規模の市場では銀行融資への影響は限定的であると分析しているが、ABAは市場が1兆ドル規模へ拡大した際のシステミック・リスクを軽視していると批判した。
ABAの試算によれば、アイオワ州のような単一の州だけでも、預金移動に伴う融資削減額が最大87億ドルに達する可能性があり、地域経済への深刻な副作用が懸念されている。
政治的な動きも加速しており、スコット・ベッセント財務長官は8日にウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿を通じて、デジタル資産のルール整備が米ドルの覇権を維持するために急務であるとして早期可決を求めた。これに呼応する形で、コインベースのブライアン・アームストロング最高経営責任者(CEO)も、超党派による数ヶ月間の努力を高く評価し、法制化への賛同を表明している。
また、シンシア・ラミス上院議員は、早ければ4月後半にも上院銀行委員会において法案の修正協議(マークアップ)と採決が行われるとの見通しを明らかにした。
委員会の広報担当者は具体的な日程に関する言及を避けているが、トランプ大統領の署名による法成立に向けたプロセスは、現政権下で最も重要な政策目標の一つとして位置づけられている。


