ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は24日、組織犯罪対策の新法「レイ・ラウル・ジュングマン」に署名し、同法が発効した。
この法律は、裁判官が犯罪の十分な証拠を認定した場合に、「デジタル資産・仮想資産を含む動産・不動産、権利および価値の差押え・凍結・利用停止」を命じる保全措置を認める。また、裁判官の判断により押収資産の早期売却も可能とし、売却益は連邦または州の公共安全基金(フンド・ナショナル・デ・セグランサ・プブリカ等)へ充当される。
資産管理は原則として公的機関が担うが、技術的・物理的に困難と認定された場合は例外が認められる。
新法の施行により、ブラジル当局は組織犯罪グループが保有する仮想通貨を法的根拠に基づき押収・売却し、その資金を治安強化に直接活用できる。
ブラジル司法・公安省のウェリントン・リマ大臣は「本法は組織犯罪の最上位層に到達するためのより効果的な手段をもたらす」と声明で述べており、犯罪組織の財務基盤の解体を国家戦略の中核に位置付ける姿勢を示した。
同法案がブラジル連邦議会に提出されたのは2025年11月であり、当時ブラジル中央銀行が違法なビットコインおよびステーブルコイン利用の取り締まり強化策を発表した時期と重なる。
同年9月にはリオデジャネイロ州で違法なビットコインマイニング事業が摘発されており、こうした国内での仮想通貨絡みの犯罪増加が立法を後押しした背景にある。
なお、仮想通貨資産の押収管理をめぐっては他国でも課題が顕在化している。韓国では捜査当局が約14億円相当の押収ビットコインへのアクセスを喪失したケースや、国税庁担当者がシードフレーズを公開してしまい約48億円相当の資産が一時流出した事例が発生しており、新法の実効性を担保する管理体制の整備がブラジルにとっても重要な課題となる。
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