JPモルガンのアナリストチームは26日付のレポートで、イラン戦争勃発後の市場動向を分析し、ビットコイン( BTC )が金・銀と比較して相対的な底堅さを示していると分析した。同レポートはザ・ブロックなど複数メディアが報じた。
JPモルガンの分析によると、金は3月月初来で約15%下落し、価格は一時最高値近辺の約5,500ドルから足元で約4,450ドル付近(26日のデータ)まで後退した。銀も最高値の約120ドルから約69ドル付近まで大幅に下落している。
同行は金ETFの3月前半3週間の純流出が約110億ドルに達しており、銀ETFへの流入は昨夏以降の累積流入分が全額流出に転じた。対照的に、ビットコイン関連ファンドは同期間に純流入を維持している。
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金・銀から資金が引き上げられる一方でビットコインへの資金流入が続いたことは、物理的安全資産への信頼が揺らいでいることを示唆するものと見られる。
また、CME先物オープンインタレストを基にしたJPモルガンの機関投資家ポジション推計では、金・銀のポジションが2025年末から2026年初頭にかけて積み上がった後、1月以降は急減に転じており、利益確定売りが加速していることが裏付けられた。ビットコイン先物のポジションは同期間に比較的安定して推移している。
金・銀が最高値圏で買われすぎの状態に達していたことが、今回の急落の背景にある。JPモルガンのアナリストは、金利上昇と米ドル高が「混雑したポジション」に圧力をかけたと分析し、コモディティ・トレーディング・アドバイザー(CTA)などモメンタム戦略の投資家が利食いを加速させたと指摘した。
また、イラン国内では戦争勃発後に『無政府資産』である仮想通貨の利用が急増し、市民が国内取引所から自己管理ウォレットや海外プラットフォームへ資産を移動させていたとブロックチェーン分析企業チェイナリシスのデータを引用して説明した。
JPモルガンのアナリストはレポートの結論部分で、「金の流動性状況が悪化し、市場の厚みが現在のビットコインを下回っている」と記述。また、QCPマーケットも独自のリポートで「ビットコインはもはや純粋な株式の高ベータ代替資産として機能しなくなったが、一貫した安全資産需要も取り込んでいない段階にある」と述べ、地政学的リスクが継続する局面ではヘッドライン主導のレンジ相場が続くとの見方を示した。
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ビットコインの価格はレポート公表時点で約6万9,000ドル付近で推移していた。JPモルガンはビットコインのモメンタム指標が「売られすぎから中立方向へ回復中」と評価しており、売り圧力の緩和を示唆。一方でQCPマーケットは、オプション市場では依然として下方リスクへのヘッジ需要が確認されており、市場が「パニックではなく慎重さ」を価格に織り込んでいると分析した。
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