*本レポートは、クリプトアナリストである仮想NISHI( @Nishi8maru )氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコイン( BTC )は7万ドル付近まで下落し、円建てでは一時60万円幅の下落となった。
背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを発表した後の記者会見において、「原油価格の大幅な上昇を反映して、短期的なインフレ期待の指標が上昇している」と述べたことがある。この発言を受け、市場では金融引き締め長期化への警戒感が強まり、米国債利回りが上昇した。その結果、金利を生まないビットコインは相対的に売られやすい展開となった。
加えて、イスラエルがイラン南部の世界最大級のガス田を攻撃したと報じられたことを受け、WTI原油先物は100ドル近くまで上昇した。これが電力コストの上昇を通じてマイナーの採算を圧迫するとの警戒を呼び、ビットコイン相場の下押し材料となった。
関連: ビットコインのハッシュレートが8%低下、エネルギー高騰とマイニング業界の依存度
オプション市場を見ると、コールポジションは徐々に積み上がっており、PCR(プット・コール・レシオ)も低下傾向にある(下画像黄矢印)。今回の下落局面にもかかわらず、市場参加者の一部では強気姿勢がむしろ強まっていることがうかがえる。
デリバティブ市場では、成行注文によって形成されたアクティブ建玉(OI)が減少しており、積極的に方向感を取りにいくというよりは、様子見姿勢の強い展開であるとみられる。
他のアセットクラスとの2カ月ベースの相関を見ると、S&P500とは-0.09、金(ゴールド)とは-0.25、原油は-0.24となっており、いずれとも強い相関関係は確認されていない。
足元のビットコインは、地政学リスクの高まりを追い風としつつも、原油高や金融引き締め懸念を逆風として受ける構図にあり、他資産とは異なる独自の値動きを形成している。
足元では、中東情勢を背景とする地政学リスクの継続が、「無政府資産」としてのビットコインに一定の追い風を与えている。一方で、原油価格の上昇はコストプッシュ型のインフレ圧力を高め、マイナーの採算悪化懸念を強めるとともに、金融引き締めへの警戒感を市場に生じさせている。
その結果、ビットコインは買い材料と売り材料が交錯するなかで、独自の価格形成を続けている状況である。
関連: 米クラリティー法案、4月採決へ「5月が事実上の期限」


