DAOガバナンス基盤「タリー(Tally)」のCEOデニソン・バートラム氏は17日、Xへの投稿で6年間の事業に幕を下ろすと発表した。タリーはユニスワップ・アービトラム・ENSをはじめ500超のDAOのオンチェーンガバナンスを支えてきたが、市場環境と規制環境の変化を受け、事業継続を断念したと説明した。
バートラム氏がX投稿で明かした実績によると、タリーの累計決済額は10億ドル超、最大800億ドル相当の資産保護に関与し、100万人超がサイトを利用、数千万のトークン保有者アドレスがガバナンスに参加した。
バートラム氏はICOによる資金調達も検討・準備を進めていたが、現在の市場環境ではトークン購入者への約束を履行できないと判断し、中止を決定したと述べた。
タリーの閉鎖は、DAO構造そのものへの疑念が業界全体に広がる流れと重なるものだ。アクロス・プロトコルは今年3月にDAO解散と米国法人化への転換を提案した。ソラナ系DEX取引所ジュピターとNFT大手ユガ・ラボもそれぞれDAO体制を廃止しており、分散型ガバナンスの実用性を疑問視する動きが加速している。
コインデスクのインタビューでバートラム氏は、ゲンスラー前SEC委員長が率いたバイデン政権時代の規制姿勢が、皮肉にもDAOの需要を生んでいたと指摘した。ゲンスラー体制下では、特定の主体がトークンの価値を左右する意思決定を行うとハウィー・テストに基づき有価証券と判断されるリスクがあり、プロジェクトはDAO構造を通じて意思決定を分散させることで法的リスクを回避する戦略をとっていた。タリーが提供するガバナンスツールはその法的防衛戦略の一端を担っていた。
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しかし、トランプ政権が仮想通貨プロジェクトへの規制姿勢を大幅に緩和したことで、プロジェクトが分散化の必要性を感じなくなったと述べた。
「チームがもはや従来型の会社として運営することで罰則を受けないと考えるなら、分散化は任意のものとなり、多くのチームはコストを払わない選択をする」と同氏はコインデスクに語り、「ゲンスラー前委員長とバイデン政権の方が仮想通貨のDAO普及にとって良かった」との見解を示した。
タリーのガバナンス・アプリケーションは今月末に段階的な停止を開始し、大口パートナー企業との移行作業が完了するまで一定期間インターフェースは維持される予定だ。バートラム氏はX投稿で仮想通貨への信念は変わらないとしつつも、分散型ガバナンスを前提としたインフラ事業に持続可能なビジネスモデルは現時点では存在しないと結論づけ、タリーが仮想通貨の歴史の一部であったことへの誇りを示した。


