ノーザン・トラスト・アセット・マネジメント(Northern Trust Asset Management)は3月2日、公式声明において、「NIFトレジャリー・インストゥルメンツ・ポートフォリオ」に新たなトークン化シェアクラスを設定し、デジタル資産市場への参入を発表した。運用資産総額1.4兆ドルを抱える同社にとって、デジタル資産領域への初の本格参入となる。
新シェアクラスは当初、BNYメロン銀行の機関向け流動性プラットフォーム「リクイディティダイレクト」を通じて提供され、ゴールドマン・サックスのデジタル資産基盤「GS DAP」を活用する。ファンド自体は直接ブロックチェーンを組み込まず、認可された金融仲介業者がブロックチェーン上に保有記録の対応情報を管理する設計となっている。
トークン化MMF(マネー・マーケット・ファンド)の注目度が高まる背景として、欧州ではBNPパリバ・アセット・マネジメントが2月20日にイーサリアムのパブリックブロックチェーン上でトークン化MMFの実証実験を実施。また、ブラックロックのiシェアーズは2026年の主要投資テーマとして現実資産(RWA)のトークン化を挙げ、同分野への機関資金の関心が一段と高まっていた。
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ノーザン・トラストは流動性戦略だけで3,550億ドルの資産を運用しており、今回のトークン化シェアクラスはその機関投資家顧客へのアクセス手段を多様化するものだ。
製品担当最高責任者(CPO)のポーラ・カー氏は、トークン化が決済の効率化と透明性向上をもたらすと述べた。同社社長のマイケル・フンスタッド博士も、機関グレードの流動性戦略にトークン化を組み合わせることで、デジタルファーストの市場環境に対応した現代的な投資手段を提供するとの方針を示した。
RWA(国債等実世界資産)のトークン化市場全体では、現時点でトークン化資産の約65%がイーサリアム上に集中しており、大手機関の参入がさらに加速する可能性がある。ブラックロック、フランクリン・テンプルトン、フィデリティなどもトークン化ファンドに参入済みで、競争と規模の拡大が同時進行している。
ノーザン・トラストの参入は、伝統的な大手資産運用会社がデジタル資産インフラを正式に取り込む流れを加速させる出来事だ。今後は承認された金融仲介業者の拡大や、対象ファンドの追加、他の機関投資家プラットフォームへの展開がどの程度進むかが注目点となる。
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