サークル・アジア太平洋地域副社長のヤム・キー・チャン氏と、バイナンスAPAC責任者のセーカー氏が27日、「MoneyX 2026」に登壇した。日本経済新聞社編集委員の小柳建彦氏が進行を務め、仮想通貨による通貨市場の変革と次世代決済インフラの未来像を提示した。
現在、アジアにおける貿易インボイスの約75%は米ドル建てという実態があるが、この構造に変化の兆しが見えている。ヤム・キー・チャン氏は、地域経済の成熟に伴い、ドル一極集中からローカル通貨建て仮想通貨へ需要が移行すると予測した。
特に日本市場については、改正資金決済法による世界的に先駆けた法的枠組みの整備を高く評価している。円建て銘柄の社会実装が他国に先んじて進むことで、アジア全体の金融ハブとしての地位を強固にする可能性についても言及された。
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また、セーカー氏は、仮想通貨技術の真価を「改ざん不能な取引記録」による検証可能性と透明性に求め、一度ブロックチェーンに記録された情報は誰にでも追跡可能であり、この特性こそが旧来の金融システムを超える信頼を構築すると語った。
同氏は健全性を示す例として、バイナンスにおいて先週記録された過去最高水準の資金流入や世界20カ国以上でのライセンス取得状況を挙げた。厳格な本人確認(KYC)の徹底により、年間7万件に及ぶ当局からの要請に応えるなど密接な協力体制を敷いているという。
米ドルステーブルコインUSDCを発行するサークルも米国やシンガポールの規制を遵守し、各国のパートナーと連携して信頼性の高いステーブルコイン発行を継続。チャン氏は、単なる決済手段ではなく「より優れたお金の形」としてのステーブルコインの価値を改めて強調した。
さらに、セッションでは、法定通貨とデジタル資産のシームレスな交換(オンランプ・オフランプ)の重要性も議論された。この強化が、特に経済規模の小さい国々において金融インフラへのアクセスを容易にし、金融包摂を加速させる鍵となるという。
最後に両氏は、相互運用性の確保によって安価かつ即時性の高い決済インフラが民主化される未来への期待を示した。2026年以降、世界の金融インフラはステーブルコインを中心に劇的な進化を遂げると確信し、セッションは締めくくられた。
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MoneyXは、ステーブルコインの正式認可が切り拓く「通貨の新時代」をテーマとした次世代金融カンファレンス。国内外から金融業界の有識者、大手金融事業者、スタートアップ、投資家、規制当局が集結し、技術革新・制度設計・社会実装をめぐる議論を展開する。
参加登録は無料・承認制。WebX実行委員会が主催し、JPYC、Progmat、SBIホールディングス、CoinPostが企画・運営に携わっている。


