mt logoMyToken
ETH Gas15 Gwei ($0.96)
日本語

価格急騰で注目を集めたジーキャッシュの将来性|買い方・注目点・リスクを解説

収集collect
シェアshare

プライバシーを重視する暗号資産(仮想通貨)ジーキャッシュ( ZEC )が、最近注目を集めています。

注目度の高さは価格にも現れていて、9月の終わりは66ドル付近で推移していましたが、11月には720ドル超まで上昇しました。この期間の上昇率は990%超です。

また、本記事作成中(11月)には「CoinGecko」のトレンドランキング(過去3時間の検索数)で1位になったこともありました。

そこで本記事では、ジーキャッシュの将来性について知りたい読者向けに特徴や最近の出来事、リスクなどについて解説します。

まずは、簡単にジーキャッシュの概要について説明します。

ジーキャッシュは2016年10月にローンチされた仮想通貨です。2013年に科学者のグループが集まり、プライバシー機能がないというビットコインの欠点を解決しようと開発を始めました。

最初は、ビットコインにプライバシー機能を拡張する「ゼロコイン(Zerocoin)」というソリューションを開発。しかし、即座に方向転換し、さらに科学者を採用して単独のプロトコルを開発しました。それが現在のジーキャッシュです。

エコシステム内の組織としては、ジーキャッシュのプロトコルを開発するために2015年に「Zerocoin Electric Coin Company」を創設。なお、現在の名称は「Electric Coin Co.(以下、ECC)」です。

他には、ジーキャッシュを支援するために、2017年にジーキャッシュ財団が創設されています。

ジーキャッシュの最も大きな特徴は、後述する技術を活用してプライバシーを重視していることです。

また、仮想通貨としては、本記事執筆時点における時価総額が約85億ドルで、順位は23位。「プライバシーコイン」のカテゴリの中では1位です。(CoinGecko参照)

本節では、直近の出来事を紹介します。まずは、ジーキャッシュの価格推移をもう少し細かく見ていきましょう。

以下が、CoinGeckoにおける全期間のチャートです。2016年や2018年の水準には達していませんが、それらの時期に次ぐ水準まで上昇していることがわかります。

また、以下は過去1年間のチャートです。このチャートを見ると、9月の終わりごろから急騰していることがわかります。本記事執筆時点のジーキャッシュの価格は約518ドル。前年比では981%超上昇しています。

他の出来事として、ECCが10月31日に、2025年第4四半期(10~12月期)のロードマップを発表しました。

今四半期は、ジーキャッシュウォレット「Zashi」ユーザーのプライバシーと利便性の向上、スムーズな開発資金管理などに注力するとしています。優先事項には以下の4つを挙げました。

Pay-to-Script-Hash(P2SH)ウォレットとは、あるスクリプト(条件)が満たされたときに支払う仕組みのウォレットです。マルチシグウォレットとは、複数の署名(鍵)で承認しないと送金できないウォレットを指します。

なお、コンセンサスの仕組みにプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用するジーキャッシュは、長期に渡ってプルーフ・オブ・ステーク(PoS)の採用を模索しています。

例えば、2021年11月発表のロードマップではPoSに移行する計画を説明。また、最近では、PoWとPoSのハイブリッド型にするアップデート「Crosslink」の準備が進められています。

また、ジーキャッシュのファンド「グレースケール・ジーキャッシュ・トラスト(ZCSH)」を提供するグレースケールが、頻繁にプロモーションを行なっていることも最近の出来事として関心を集めています。

同社は公式XアカウントでジーキャッシュやZCSHの特徴を頻繁に投稿。ZCSHの公式サイトやジーキャッシュ関連のレポートのリンクを貼って投資家を誘導しようとしています。

例えば、11月3日付けのレポートでは10月のパフォーマンスに苦しむ仮想通貨が多い中、ジーキャッシュの価格が上昇したことを紹介しました。

そして、同社のリサーチ部門は、ブロックチェーン技術はプライバシー関連の要素なしに完全な潜在力を発揮できないと考えていると説明。パブリックブロックチェーンが主流の金融システムにより深く融合されるにつれて、プライバシー技術への需要が高まり、この分野への機関投資が拡大すると予測していると述べています。

なお、その後、グレースケールは米証券取引委員会(SEC)に対し、ZCSHをETFに転換する申請を行っています。

人気の分散型取引所(DEX) ハイパーリキッド が10月にジーキャッシュを上場したことも注目を集めています。トレーダーがハイパーリキッドでレバレッジポジションを取れるようになったことでエクスポージャーが強化されました。

ギャラクシーデジタルのアナリストであるウィル・オーウェンズ氏は、永久先物で流動性が高まり、建玉が増加したことが現物価格のボラティリティ上昇につながったと 分析 しています。

他にも2025年11月に、ナスダック上場の リープ・セラピューティクス が、社名をサイファーパンク・テクノロジーズに変更し、ジーキャッシュを蓄積する戦略を発表。私募で調達した資金のうち5,000万ドルを使用し、平均購入価格245.37ドルで20万3775.27ZECを取得しました。

この戦略的転換は、ウィンクルボス・キャピタル主導で実施された5,888万ドルの私募増資の一環として行われています。

サイファーパンク・テクノロジーズのダグラス・オンシCEOは発表で「ジーキャッシュが可能にするプライバシー機能は、金融取引がブロックチェーンとトークン化に移行する中で極めて重要だ」と指摘しました。

また、ジーキャッシュの匿名機能への需要が高まっていることがデータで示されています。

メッサリの2025年11月7日時点のデータによると、2024年1月1日時点でジーキャッシュのシールド(匿名化)総額は3,470万ドルだったのに対し、イーサリアムのプライバシープロトコルの総預かり資産(TVL)は約3.6億ドルでした。

しかし、2025年11月7日時点ではシールドされたジーキャッシュは計26億ドルに達し、イーサリアムのプライバシープロトコルの12億ドルを大幅に上回っています。

続いて、ジーキャッシュの将来性を考察するにあたり、開発のテーマを改めて確認します。テーマの軸にあるのはプライバシーです。

公式サイトでジーキャッシュのプロジェクトは、「プライバシーとは全ての人やモノから隠れることではない」と説明しています。プライバシーの本質は、誰と何を共有するかを選択できるようにすることであるという考え方です。

そして、プライバシーは安全・管理権・アクセスを認可する権利を提供するものであると主張しています。

この考え方は、トランザクションの公開・非公開をユーザーが選択できるジーキャッシュの設計に表れています。

最近ジーキャッシュが注目を集めたり、価格が上昇したりしている背景には、仮想通貨領域でプライバシーへの回帰が進んでいることがあります。

回帰を促している要因の1つは、各国の中央銀行がデジタル通貨(CBDC)の研究や開発を進めていることです。最近の動きとしては、米トランプ政権がCBDCの直接発行を禁止するための議論を進めている一方で、欧州中央銀行(ECB)が10月29日にデジタルユーロプロジェクトの次段階に進むことを決定しました。

これは、欧州理事会が開発プロセスの加速を要請したことを受けた動きで、2029年の正式導入を目指すとしています。

CBDCには、法定通貨をデジタル化することによる利便性や運営効率の向上などのメリットがありますが、中銀に対するプライバシー保護対策が発行の大きな課題になっています。

一般の消費者にとって個々の決済や取引はプライバシーに属する情報で、政府や中銀がそれらを監視できるようになることへの警戒感は強いと言われています。

続いて本節では、プライバシーを保護するためにジーキャッシュに導入されている技術について紹介します。

ジーキャッシュは「ゼロ知識証明」という仕組みを活用しています。ゼロ知識証明とは、証明者が「自身の主張は真実であること」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明する仕組みです。

わかりやすい例では、生年月日や本人確認書類の情報を開示することなく、20歳以上であることを証明できる仕組みを指します。

例えばジーキャッシュには、実際の残高や取引履歴を明かさないまま、残高や取引履歴が間違っていないことだけを証明する仕組みが導入されています。

ジーキャッシュを誰かに送金する場合は、送金者が送金に十分な残高を保有していることや送られる通貨が本物であることを証明しなくてはなりません。

この時に、詳細を明かすことなく、通貨が本物であることと送金に十分な残高を保有していることだけを証明するためにゼロ知識証明が使われています。

ゼロ知識証明の文脈では、「zk-SNARK」という言葉がよく使われます。zk-SNARKを採用するジーキャッシュは公式サイトで「zk-SNARKとは、ゼロ知識暗号技術の新しい形式である」と説明しています。

zk-SNARKは「Zero-Knowledge Succinct Non-Interactive Argument of Knowledge」という言葉の頭文字からできています。

ゼロ知識を表す「zk」に続く「Succinct」は「簡潔な」という意味を持ち、証明結果のデータサイズが小さく簡単に検証できることを示しています。

次の「Non-Interactive」とは「証明者および検証者が互いに直接やりとりしない」という意味です。そして、「Argument of Knowledge」とは、大まかに言えば「知識の証明」を指します。

つまり、zk-SNARKとは「証明者および検証者が直接的にやりとりせずに、簡潔な方法で、証明者が保有している情報が正しいということを検証者に証明する技術」と言うことができます。

ジーキャッシュはzk-SNARKの証明を利用することで、完全に暗号化した取引もコンセンサスのルールに基づいて有効であると検証できるようにして、強固なプライバシーを実現しています。

また、ジーキャッシュには「Halo」という仕組みが実装されています。Haloは、ECCのショーン・ボウ氏による、暗号技術に関する飛躍的な発明であると公式サイトで説明されています。

わかりやすく言うとHaloとは、新しいzk-SNARKのこと。プライベートなデジタル決済のために、目標とするパフォーマンスを維持し、拡張性の高い構造を支えながら、「Trusted Setup(信頼されたセットアップ)」のプロセスの省略を実現しました。

Trusted Setupとは、プロトコルが正しく機能するために必要な共通パラメータの生成プロセスで、多くの利害関係者が参加する必要があると言われています。

例えば、イーサリアムのL2プロジェクト「ZKsync」は2021年5月、ヴィタリック・ブテリン氏やイーサリアム財団など200を超える参加者によってTrusted Setupが行われたと説明していました。

また、Haloはブロックチェーンの相互運用の土台となり、ジーキャッシュを世界のデジタル経済の基盤にする役割も期待されています。

続いて本節では、ジーキャッシュに対する評価を紹介します。

ジーキャッシュは、ビットコインの通貨設計を踏襲しています。わかりやすく言えば、ビットコインのオープンソースのコードにゼロ知識証明を追加したのがジーキャッシュです。

例えば両通貨には、2,100万枚という供給上限、PoWの採用、約4年ごとの半減期などの共通点があります。

この点から、ギャラクシーデジタルのオーウェンズ氏によれば、ジーキャッシュの支持者はジーキャッシュのことを「暗号化されたビットコイン」と位置付けています。オーウェンズ氏自身も「ある意味ではビットコインの精神的な後継者として機能している」との見方を示しました。

こういった位置付けの背景にあるのは、ビットコインの「制度化」に対する批判的な見方です。これは、現在のビットコインがETFや中央集権的なカストディアンに支配されていることを指しています。

オーウェンズ氏は、暗号化されたビットコインという見方について、オンチェーン分析や監視が強化される中でのサイファーパンクの原則への回帰だと主張。サイファーパンクとは、暗号技術を使って個人のプライバシーと自由を守ろうとする思想・運動を指します。

他にも、ジーキャッシュは複数の著名人から支持を受けています。ジーキャッシュの価格上昇や注目度の高まりの背景には、著名人の草の根運動もあります。続いて、ジーキャッシュに対する強気な見方を紹介します。

まずは、ソラナ開発者向けのインフラツールを提供する「Helius」のマート・ムタズ氏です。同氏は2025年11月、Xに「クリプトにおける最後の1,000倍成長チャンス:プライバシー論」と題した意見を投稿しました。

この時に、仮想通貨の技術的進化ではプライバシー領域が最後に残った課題であり、市場が未開拓であるため大きなチャンスが期待できると主張。この領域を先導している銘柄の例としてジーキャッシュを挙げています。

ムタズ氏は「地球規模で、誰にも止められないプライベートマネーの時代が来ている」と総括しました。

また、ウィンクルボス・キャピタルや仮想通貨取引所ジェミニの共同創業者タイラー・ウィンクルボス氏は、サイファーパンク・テクノロジーズの社名変更の際にXで「プライバシーは多くの自由の前提条件だ。政府や企業の影響力が終わり、個人の自由と自己主権が始まる地点だ」と投稿しました。

ウィンクルボス氏もジーキャッシュを暗号化されたビットコインと呼び、ビットコインが「デジタルゴールド」ならジーキャッシュは「デジタルキャッシュ」だと説明しています。

他にも、ビットコインが今後5年から10年で1BTC=100万ドルに上昇すると予想し、ジーキャッシュもビットコインの時価総額の相当な割合を占める可能性があると述べました。

また、ビットメックス共同創設者で著名アナリストのアーサー・ヘイズ氏もジーキャッシュを高く評価しています。2025年11月に公開された「Coin Bureau」の番組に出演した際には、プライバシー銘柄の価値を信じているとし、追跡できないインターネット通貨の必要性を主張しました。

ヘイズ氏はジーキャッシュを「完全なプライバシーがあるビットコイン」と表現しています。そして、ジーキャッシュの価値は、ビットコインの10%から20%に達すると分析しています。

2025年10月30日にはXで、1ZEC=1万ドルまで上昇するとの見方を示しました。この時の1ZECの価格は350ドル台でした。

他にも、Xのフォロワーが294万超の著名起業家で、エンジェルリスト共同創業者のナヴァル・ラヴィカント氏は「ビットコインが法定通貨に対する保険なら、ジーキャッシュはビットコインに対する保険だ」との見方を示しています。

ここまでジーキャッシュが注目を集める理由や強気派の見解などポジティブな面を説明してきましたが、本節ではジーキャッシュの主なリスクを紹介します。

まずは、規制によって利用や上場、流動性が制限されるリスクです。プライバシーを重視するということは、マネーロンダリングやテロ資金供与に利用されやすいことを意味します。

実際に日本では、上場されていた時期はありましたが、犯罪利用へのリスクから他のプライバシー銘柄とともにジーキャッシュの上場が廃止されており、本記事執筆時点の11月時点でも上場していない状況です。

また、これは日本だけの対応ではありません。例えば、欧州でも、金融機関や仮想通貨サービス企業などが匿名口座を保持することや、秘匿機能が強化された通貨を使って取引を匿名化する口座等を保持することがすでに禁止されています。

なお、今年に入って「欧州では2027年からプライバシー通貨の使用や匿名口座が禁止される」と一部メディアで報じられていますが、これは間違いであるとサークル社の欧州担当であるパトリック・ハンセン氏が複数回、注意を促しています。

同氏は2024年にも誤情報の拡散に注意を呼びかけており、その時点で欧州の仮想通貨規制「MiCA法」はすでに匿名機能のある仮想通貨の上場を禁止しているとも説明していました。

なお、ジーキャッシュ側は以前からマネーロンダリングやテロ資金供与の規制を遵守していることをアピールしています。過去には、規制遵守のアピールの影響もあり、犯罪への利用があまり進んでいないとの調査結果も公開されました。

2019年にはECCが、金融活動作業部会(FATF)が提唱するマネーロンダリング等防止のための国際的な電信送金に関するルールである「トラベル・ルール」を遵守していると主張しています。

この時、ジーキャッシュのプライバシー保護機能は、仮想通貨サービス企業が顧客の取引を監視することを妨げるものではないことなどを説明しました。

また、2022年8月には、米政府がミキシングサービス「Tornado Cash」を制裁対象にしたことを受け、改めてルールを遵守していることを説明しています。

この時は、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)に認可されていることなどを主張。コインベースは本記事執筆時点でもジーキャッシュを上場しています。

他にも、ジーキャッシュには、他の仮想通貨や資産と同様に価格変動リスクがあります。注目度が高まって上昇局面にあっても、マクロ経済や市場サイクル、規制強化、ハッキングなどの影響を受けて下落に転じる可能性があります。

クリプトクアントのコミュニティアナリストMaartunn氏は2025年10月、ジーキャッシュの高騰は通例ビットコインにとって警戒のサインであるとの分析を公開しました。

以下の画像はMaartunn氏が公開したチャート。ジーキャッシュが高騰した後、過去にはビットコインが下落する局面が複数あったことが赤線で示されています。

同氏は、こういったアルトコインの急騰は、相場サイクルのピーク付近で起こる傾向があると指摘しました。上記画像では、ビットコインに合わせてジーキャッシュも下落していることが示されています。

ジーキャッシュ(ZEC)の急騰は短期的な投機だけではなく、プライバシー回帰という長期テーマと、実際のユースケースの拡大が背景にあります。匿名化された残高の急増、CBDCや規制環境への懸念、著名投資家の支持、大手企業による購入など、複数の要因が同時に作用しました。

一方で、プライバシー通貨であるがゆえの規制リスクや急激な価格変動には注意が必要です。Zcashは「暗号化されたビットコイン」とも呼ばれ、根強い支持を持つプロジェクトですが、投資判断には最新のニュースや規制動向を確認することが重要です。

価格の上昇理由、技術的な強み、リスクを総合的に理解した上で、自分の投資スタンスやリスク許容度に応じて検討すると良いでしょう。

本記事は企業の出資による記事広告やアフィリエイト広告を含みます。CoinPostは掲載内容や製品の品質や性能を保証するものではありません。サービス利用やお問い合わせは、直接サービス提供会社へご連絡ください。CoinPostは、本記事の内容やそれを参考にした行動による損害や損失について、直接的・間接的な責任を負いません。ユーザーの皆さまが本稿に関連した行動をとる際には、ご自身で調査し、自己責任で行ってください。

免責事項:この記事の著作権は元の作者に帰属し、MyTokenを表すものではありません(www.mytokencap.com)ご意見・ご感想・内容、著作権等ご不明な点がございましたらお問い合わせください。
MyTokenについて:https://www.mytokencap.com/aboutusこの記事へのリンク:https://www.mytokencap.com/news/544448.html
関連読書