*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI( @Nishi8maru )氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコイン( BTC )は続落基調が止まらず、一時は7か月ぶりとなる8万5,000ドル台まで下落し、日本円ベースでも1,400万円を割り込む局面となった。背景には、世界最大のビットコイントレジャリー企業であるストラテジー社が、MSCIやナスダック100といった主要株価指数から除外される可能性が報じられ、同社の資金調達環境が厳しくなるとの観測が広まったことがある。
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同日、イーサリアムトレジャリー企業であるFGネクサスが50億円相当のイーサリアムを売却したことが市場心理を大きく冷やした。さらに20日に公表された9月の米雇用統計も、FRBが12月FOMCで利下げを判断できる内容ではなかったことが、市場に下押し圧力を与えている。
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オプション市場では、プットコールレシオ(PCR)が顕著に上昇しており、市場参加者が極めて弱気なポジションを構築していることが読み取れる。
Fear & Greed Indexにおいても今年の最低水準に低下しており、市場心理は著しく悪化している。
他の主要アセットとの相関関係(直近2カ月)をみると、Nasdaq100が-0.19、半導体指数(SOX)が-0.27、金が-0.33と、リスク資産・安全資産のいずれに対しても弱い逆相関の状態が続いている。ビットコイン単独の需給悪化が価格形成に影響している構造である。
現在の下落を主導するのは、何よりもストラテジー社に関する指数除外リスクである。同社に関する協議結果の公表は来年1月15日とされ、時間的な不確実性が長期化する点が市場心理を冷やしている。加えて、FGネクサスのイーサリアム売却が同日に報じられたことで、トレジャリー企業が相次いで暗号資産売却に動くのではないかという懸念が急速に広がった。
もしトレジャリー企業が上場維持や債務超過回避を目的に継続的な暗号資産売却に踏み切れば、売りが売りを呼ぶ悪循環が発生する可能性がある。この点は今後の市場にとって重大なリスク要因であり、継続した注視が必要である。
また、20日に発表された雇用統計の内容は、FRBが12月のFOMCで利下げに踏み切るかどうか判断を難しくするものであり、金融環境の不透明感がビットコイン市場の重石として作用している。
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