HashPort Walletが、DeFi大手の1inchが提供するスワップ技術「1inch Swap API」を統合することがわかった。
同ウォレットは、大阪・関西万博の公式デジタルウォレットとして開発され、その後HashPort Walletへリブランディングされた。
連携しているKana Labsのシステムを通じて統合され、ユーザーは複数のブロックチェーン間で円建て連動型ステーブルコイン「JPYC」などの暗号資産をスワップできるようになる。
従来は異なるチェーン間で資産を移動する際にブリッジが必要だったが、今回の統合によりブリッジを使わずに直接スワップが可能になる。
さらに、1inchにより、HashPort Walletユーザーはグローバルで流動性を持つネットワークを活用した有利なレートでの取引が可能になる見込み。
1inchはDEXアグリゲーターと呼ばれる仕組みで、複数の分散型取引所から最適なレートを自動的に見つけ出し、取引を最適なルートに振り分ける。これにより、ガス代(取引手数料)の削減やMEV攻撃からの保護が実現され、より安全で効率的な取引環境が提供される。
この技術統合により、特に注目されるのがJPYCへの対応。10月27日に発行が開始されたJPYC(日本初の円建てステーブルコイン)は、HashPort Walletで保有・送受信に対応し、今回の統合でクロスチェーンスワップ機能が追加された。
1inch共同創設者のSergej Kunz氏は「1inchは日本の機関投資家が責任ある方法でWeb3技術にアクセスできるよう支援することに尽力している。世界中の機関投資家基準を満たす次世代金融ソリューションを構築し提供できることを嬉しく思う」とコメントしている。
HashPort Walletは、HashPortが開発・提供する暗号資産ウォレットアプリ。2025年4月から10月にかけて開催された大阪・関西万博では「EXPO2025デジタルウォレット」として提供され、パビリオン訪問の記念スタンプやリワード特典の配布に活用された。万博期間中に累計約100万ダウンロードを達成、590万件以上の取引を処理している。
10月31日に「HashPort Wallet」としてリニューアルし、Aptos、Ethereum、Polygon、Baseなど複数のブロックチェーンに対応。円建てステーブルコインJPYCや米ドル連動のUSDCなどのステーブルコインを扱えるほか、分散型取引所(DEX)機能を搭載している。
今回の統合は、HashPort、Kana Labs、1inchの3社によって実現された。この提携は、日本のデジタル資産市場における重要な課題「ユーザーが自己管理を維持しながら資産を保有するだけでなく、効率的にスワップできる環境の整備」に取り組むものだ。
役割
スワップ技術を提供。DEXアグリゲーターとして複数の取引所から最適なレートを見つけ出し、ガス代削減とMEV保護を実現する。
組織概要
2019年にニューヨークのETHGlobalハッカソンで誕生した自己管理型DeFiエコシステム。2,600万人のユーザーを持ち、1日あたり5億ドル以上の取引量を誇る。10月には「DeFiを統合し、一つになって前進する(We move forward as 1″)」を掲げる新ブランドアイデンティティを発表した。
役割
ユーザー向けのスワップサービスを直接提供。HashPort WalletユーザーはKana Labsのインターフェースを通じて1inchの技術を提供する。
組織概要
Web3・ブロックチェーンインフラ専門企業。自社開発のミドルウェアSDKを通じてクロスチェーン生態系を構築・支援している。9つのブロックチェーンに対応し、累計取引量100億ドル以上、110万以上のアクティブウォレットを持つ。
役割
HashPort WalletにKana Labsのサービスを連携し、ユーザーに提供。
組織概要
「まだ見ぬ価値を暮らしの中へ」をミッションに、ブロックチェーンの社会実装を支えるソリューションプロバイダー。大阪・関西万博のEXPO2025デジタルウォレットを開発・運営している。

