資産運用会社バンエック(VanEck)は19日に公表したレポートで、ビットコイン( BTC )の最近の売り圧力が長期保有の大口投資家ではなく、中期保有者によるものだと分析した。同社は5年以上保有されているビットコインが増加を続けており、売却は主に保有期間3〜5年の中期投資家に集中していると指摘した。
バンエックによると、フラッシュクラッシュが発生した10月10日以降、ビットコインETP(ETF含む商品)からは4万9,300BTCが流出し、総運用資産の約2%に相当する。
11月14日週には「サトシ時代」の大口保有者が保有する15億ドル相当の全ビットコインを売却したことで、仮想通貨コミュニティに弱気ムードが広がった。恐怖・貪欲指数は3月以来の低水準(極度の恐怖)に達している。
しかし保有規模別の詳細分析では、1万〜10万BTCを保有する大口投資家は過去6カ月と12カ月の期間でそれぞれ6%と11%保有量を減らした一方、100~1,000BTCを保有する小規模投資家層は同期間に9%と23%増加させていた。短期データでは1万〜10万BTC保有層が過去30日、60日、90日でそれぞれ約3%、2.5%、0.84%増加しており、トランプ関税発表後の急落で買い増しした可能性がある。
また、最終移動時期別の分析では、過去30日間の売り圧力は保有期間5年未満の層に集中し、5年以上保有されているビットコインはほぼ維持または増加していた。特に3〜5年前に取得された層が各調査期間で一貫して減少し、過去2年間で32%減少した。これらは前回のビットコイン相場低迷期に取得されたもので、保有者は長期投資家ではなく機会主義的なサイクルトレーダーとみられる。
一方、5年以上保有されているビットコインは2年前と比べて27万8,000BTC純増した。これは保有期間の短いコインが5年超のカテゴリーに移行したことを反映しているが、長期大口保有者の確信が続いていることを示している。
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一方で、JPモルガン・チェースのアナリストは20日のレポートで、ビットコインが同行の推定生産コスト9万4,000ドルを下回った最近の調整局面について、仮想通貨ネイティブ投資家ではなく主に個人投資家による現物ETFの売却が要因だと分析した。
ニコラオス・パニギルツォグル常務取締役率いるアナリストチームは「10月の調整は永久先物の大幅なレバレッジ解消が原因だったが、11月は安定化した」と述べた。
また、11月にビットコインとイーサリアムの現物ETFから約40億ドルが流出し、すでに2月の流出記録を上回っている。一方で個人投資家は11月に株式ETFへ約960億ドルを投入しており、月末までこのペースが続けば1,600億ドルに達する見込みだ。
アナリストは「個人投資家による仮想通貨ETF売却を、株式を含むリスク資産全般への弱気転換のシグナルと解釈するのは誤りだ」と指摘した。仮想通貨ETF売却は今年2月、3月、11月の3カ月のみで、個人投資家が仮想通貨と株式を別の資産として扱っていることを示しているという。
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