暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン( BTC )は前日比-0.52%の1BTC=94,915ドルに。
チャート上では、50日移動平均線を下回り、200日移動平均線との間で弱気のデッドクロスが形成されている状況だ。
BTC価格は2024年初頭から続いてきた上昇トレンドラインを明確に下抜け、10万ドルの心理的節目も割り込んだ。直近の高値である126,000ドル付近から約25%の調整局面に入っており、次の重要なサポートラインは91,000ドル付近に位置している。
上値では10万ドル台が当面の上値抵抗帯となり、50日移動平均線が回復の目安となりそうだ。短期的には弱気の地合いが継続する可能性が高く、今回の強気相場の起点となった米大統領選時点の69,000ドル水準までの大幅下落を想定する見方もある。
ただし、2024年からの長期上昇トレンドは完全には崩れておらず、90,000ドル台で下げ止まれば調整の範囲内と見ることもできる。
連邦準備制度理事会(FRB)が12月に利下げを実施する可能性が低下するとの見方が広がり、投資家はビットコインなどのリスク資産から現金や債券、金(ゴールド)といった安全資産へと資金を移動させているものと見られる。
デリバティブ市場では、ロングポジションのロスカット(強制清算)連鎖が発生し、ビットコインだけで約1億9000万ドル、仮想通貨全体では3億ドル以上が強制決済された。これらの売りは機関投資家のリスク管理ルールを発動させ、ETFの大規模な償還につながった。
これらを背景に、仮想通貨市場の市場心理は、「極度の恐怖(Extreme Fear)」を示す水準まで急低下している。
アナリストのベンジャミン・コーエン氏は、ビットコインがテクニカル分析上の弱気シグナルであるデッドクロスを記録したと指摘し、過去の事例では局地的な安値をつけるパターンが見られたと述べた。
一方、BitMineのトム・リー氏は、今回の市場の弱さは複数のマーケットメーカーのバランスシート問題に起因する可能性があり、大口投資家が清算を誘発してビットコイン価格を押し下げていると分析した。
ただし同氏は、これは短期的な調整に過ぎず、感謝祭後の6〜8週間で市場は回復に向かうと予測している。
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政府閉鎖により経済統計の発表が数週間にわたって停止し、トレーダーや政策当局者は通常FRBの判断材料となる雇用統計やインフレ指標を入手できない状況が続いていた。
11月20日に発表される9月の雇用統計は、単なる遅延データの公表を超えた意味を持ち、事実上、FRBの年内最後の政策決定を左右する重要指標として位置づけられている。最新のマクロ経済指標が不在の中、投資家は客観的なデータではなく市場心理に基づいて期待値を修正している。
CMEのFedWatchツールによると、かつては12月の利下げが基本シナリオとして織り込まれていたが、市場の見方が変化し、現在では“利下げ見送り予想”が優勢となっている。
リスク資産からの資金流出を加速させる要因には、このような政策期待の変化が見受けられる。
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