金融大手JPモルガンは、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン( BTC )の価格が底値に達したとの分析を発表した。フォーブスなどが15日に伝えた。
ニコラオス・パニギルツォグロウ氏率いるJPモルガンのアナリストらは、マイナー(ビットコインを採掘する事業者や個人)によるビットコインの推定生産コストに注目している。
推定生産コストは、マイナーが新たにビットコインを採掘し報酬を得るために費やす金額のことであり、歴史的にビットコイン売却局面で価格の下限値として機能してきた。
JPモルガンのアナリストらは、ビットコイン生産コストの急上昇を指摘。現在の状況では1BTCあたり約9万4,000ドルと推定している。この数字は数週間前の9万2,000ドルから上昇している。
マイナーが市場における最大の売り手であるため、生産コストが大底として機能すると主張する形だ。ビットコイン価格がこの水準を割ると、マイナーは売却しても損失を出すことになるため、売却を避けるようになる傾向が指摘されている。
過去のサイクルでは、ビットコインが限界生産コストに達すると、市場は安定を取り戻した。JPモルガンは、これに基づいて、今後生産コストが大幅に低下しない限りは、下落幅は限定的だと見ている。
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JPモルガンのアナリストらは6日に、ビットコインが今後6ヶ月〜12ヶ月以内に約17万ドルまで上昇する可能性があると予想している。
アナリストらは、ビットコインと金(ゴールド)のボラティリティ(価格変動の大きさ)格差の縮小に注目している。ビットコインのボラティリティと金のボラティリティの比率は現在2.0を下回っていると指摘した。
これは、ビットコインがマクロ的な価値の保存手段として取引されていることを意味しているが、評価額の差は依然として大きいとしている。
ゴールドの時価総額は28.3兆ドルで、ビットコインの時価総額である1.9兆ドルを大幅に上回っているとして、理論上はビットコインがゴールドのリスク調整後評価額に少しでも近づくと、価格が60~70%上昇するのが妥当だとする格好だ。
ビットコインがここ数か月で30%以上上昇したゴールドに追いつくにつれ、2026年のいずれかの時点でビットコイン価格が17万ドル近くに達する可能性があるとしている。
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短期的には、仮想NISHI氏が15日のレポートで、米FRBが12月9〜10日のFOMCで利下げを見送るとの観測が強まっていることが相場の重しになっていると指摘。
ビットコインは売り圧にさらされており価格変動が大きくなりやすい状況だが、市場心理が極端な悲観に振れていることなどに言及し、売り枯れを伴う下げ止まりなどが生じる可能性も高いと見解を示した。
Alternative.meの提供するデータによると、17日現在ビットコインの恐怖・強欲指数は14に達している。16日の10よりは回復しているものの、依然として極度の恐怖ゾーンに位置しているところだ。
この指数はボラティリティや出来高、ソーシャルメディア分析、ビットコインドミナンス、検索トレンドなどにより算出されている。