「Bitcoin Core v30.0」リリース、データ制限の引き上げでコミュニティの意見が対立
ビットコインのオープンソースソフトウェア「Bitcoin Core」の最新アップグレードv30.0が12日にリリースされたが、データ制限の大幅な引き上げをめぐり、コミュニティの意見が対立している。
Bitcoin Core v30.0には、手数料の引き下げや、パフォーマンス向上、バグ修正、ウォレットのアップグレード、インターフェイス改善などが含まれているが、コミュニティで論争を巻き起こしているのは、OP_Return上限の引き上げについてだ。
OP_RETURNは、ビットコインのスクリプト言語で使用されるオペコードで、トランザクション出力に任意のデータを載せると同時に、その出力を無効化する機能。(支払不可となる)ビットコインブロックチェーンにタイムスタンプや追加情報などのメタデータを埋め込むことができる。
これまでは80バイトまでのデータ出力が可能だったが、今回のアップグレードにより上限が10万バイトにまで、大幅に引き上げられた。この変更により、ビットコイン取引に金融とは関係ないより多くのデータが埋め込まれるようになりかねないと危惧する声が上がっている。
一方で、この変更により、オンチェーン機能が拡大し、より高度な分散型アプリケーションの開発が可能になると評価する人々もおり、議論は白熱している。
反対派は、「ピアツーピアの電子キャッシュシステム」というビットコイン本来の目的が損なわれる可能性があると指摘している。また、ブロックチェーンの肥大化やノードの運用コストの増加につながると懸念を示した。
さらに、大量の非金融データを保管することで、ノード運営者に法的リスクをもたらす可能性を指摘する声もある。著名な暗号学者のニック・サボ氏は、「ノード運営者が違法データをホスティングするリスクを負っている」と警告。ノード運営者によって違法コンテンツを削除可能にする安全対策を講じなければ、運営者は刑事責任を問われる可能性があると主張した。
サボ氏は、ノード運用者に対しv30.0へのアップグレードを推奨しないと述べ、トランザクションに厳格なデータ制限を適用可能な「Knots」という代替ノードソフトを使うことを提案した。BitRefのデータによると、現在、全ビットコインノードの21.48%が、Knotsソフトウェアを使用している。
一方、賛成派は、制限緩和によってライトニング・ネットワークのようなレイヤー 2ソリューションやdApps(分散型アプリ)の開発を加速させ、ビットコインを「単なる通貨」から「多機能なプラットフォーム」へ進化させると主張している。Ark Labsエコシステムリーダーのアレックス・バージェロン氏は、「追加されたOP_RETURN空間をすべて活用」して、ビットコイン上でイーサリアムのようなアプリケーションをさらに構築できることに期待を寄せている。
Blockstream CEOであるアダム・バック氏は、OP_RETURNの変更がスパムを増やすという批判は的外れだと指摘。OP_RETURNはTaprootを使う方法よりも、4倍コストが高いためだと説明した。
また同氏は、v30.0にはセキュリティの修正が含まれており、「世界で最も優秀な200人の技術者によるセキュリティや堅牢性の修正を拒否するように社会的に攻撃・扇動すること自体が、ビットコインに対する攻撃だ」と。主張。ネットワーク強化のためにもノード運営者によるアップグレードを強く求めている。
Bitcoin Core v30をめぐる議論は、ビットコインコミュニティ内での将来の方向性をめぐる緊張を浮き彫りにしている。
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