「ミームコインは仮想通貨への入り口として重要」=ギャラクシーデジタル考察
米暗号資産(仮想通貨)金融大手ギャラクシーデジタルは1日、「ミームコインの現状」と題したレポートを公開し、ミームコインは単なる一時的なブームではなく、仮想通貨市場の進化に重要な役割を果たしていると主張した。
ミームコインに実用性はなく、「文化的なトークン、アイデアや仲間意識、そして集団的アイデンティティの受け皿として機能する以外、文字通り何もしていない」とレポートは切り出す。ミームコインの取引は、ファンダメンタルズよりも、「市場がバイラルだと認識する前に、TikTokでトレンド入りするトークンを購入するような、注目サイクルを予測し、先行する行動」、つまり「文化的アービトラージ」と呼べるものだと独自の見解を示した。
長期的には、ミームコイン購入者の大多数が損失を被り、ミームコイン取引は多くの意味で単なるギャンブルと言っても差し支えない。しかし、ミームコインはユーモアと投機性を融合させることで、「人々の注目を集め、資金を獲得する」という役割を果たしており、仮想通貨への新規参入者を誘致する上で、独自の効果を発揮していると、レポートは指摘。ミームコインの重要性は、「ミームコインが生み出した文化×金融インフラ」にあると強調した。
多くのユーザーにとってブロックチェーンとの初めての出会いは、分散型取引所(DEX)でミームコインを購入することだ。そこから徐々に資産のブリッジ(異なるチェーン間の移動)やステーブルコインのスワップ、さらにはレンディングプロトコルの利用といった、より高度な操作へとステップアップしていく。ミームコインは、投機を「ソーシャルで親しみやすい」ものにすることで、仮想通貨に対する心理的なハードルを低減するとレポートは説明した。
さらに、レポートは、ミームコインが大量の取引を通じて「ブロックチェーンインフラのストレステスト」としても機能すると付け加えた。具体例として、トランプ米大統領の公式ミームコイン「TRUMP」トークンのローンチ時に取引プラットフォームJupiterで発生した4,200万件の取引の失敗事例に言及した。
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ミームコインのエコシステムで大きな役割を果たしているのが、ソラナ( SOL )であり、ミームコイン発行プラットフォームのPump.fun(パンプファン)だ。
ソラナ上では3,200万種類以上のミームコインが作成されたが、2024年のパンプファンのローンチなしには実現しなかっただろうとレポートは指摘する。パンプファンは技術的な専門知識を必要とせず、インターネット接続とわずかなコストのみで、ミームコインの発行を可能にした。
パンプファンは「ソラナにおけるトークン発行を産業化した」とレポートが指摘するように、ソラナ上で作成された総数3,200万枚ミームコインのうち、約1,290万枚はパンプファンで発行されたものだ。
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パンプファンで発行されたトークンの累計FDMC(完全希薄化後の時価総額)は、現在48億ドル(約7,080億円)を超えており、競合他社を桁違いに上回る規模となっている。これはソラナ上で発行されたトークンのFDMC総額の85%以上を占める。
約1,290万枚のパンプファン発行トークンのうち、わずか12トークンが全体のFDMCの半分以上を占めている。これらの12トークンの価値は合計26億9,000万ドル(約3,968億円)で、パンプファンのFDMC総額の56%を占め、残りの数百万トークンに44%の価値(21億1,000万ドル:約3,113億円)が分配されている。
つまり、パンプファン発行トークンの0.00009%が価値の大部分を握っていることになる。
レポートは、ミームコインのエコシステムは、ほとんど「宝くじ」に近い構造をしていると指摘。新たにローンチされるトークンのほとんどは、数時間以内に崩壊する運命にあり、ごく一部だけが十分な注目を集めてブレイクアウトに成功すると説明した。
ミームコインは、構造的に大多数のトレーダーにとって「期待値マイナスのゲーム」だが、このようなごく少数の「当たり銘柄」の存在が、投機熱と「カジノ的なギャンブル」を継続的に煽り続けているとまとめた。
レポートは、ミームコイン取引は、ほとんどの参加者にとってギャンブルと同様、損失につながるものだと結論づける一方で、「カジノの所有者」は大きな利益を手にしていると指摘した。
例えば取引プラットフォームのAxiomは、10人未満の小規模チームによって運営されているのにもかかわらず、ミームコイントレーダーから徴収する手数料で、累計収益が2億ドル(295億円)を突破したという。
これらを総合して、レポートはミームコインへのエクスポージャーを望む機関投資家にとって、より良い選択肢は、「インフラ」や複数のサイクルを生き延びた少数の「カルト」的なミームコインだとまとめた。
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