コインベース、SECの文書破棄を問題視 裁判所に制裁求める
米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースのポール・グレワル最高法務責任者は12日、バイデン政権下での米国証券取引委員会(SEC)が、ゲンスラー前SEC委員長のテキストメッセージを破棄していたと批判した。
グレワル氏は、先週のSEC監査報告書によって2022年10月から2023年9月までの該当文書が破棄されたことが明らかになったとして、次のように述べている。
グレワル氏は、保存と提出が義務付けられていた文書を破棄したことは国民の信頼を損なうものだとして、SECに制裁措置などを求める書類を連邦裁判所に提出したとも発表している。
迅速な証拠開示、制裁、関連するすべての文書の即時提出を求めているとも続けた。記録管理の不備で企業に数十億ドルの罰金を科した同じ機関が、全く同じ違反を犯しており、ゲンスラー前委員長は二重基準を持っていたとも批判している。
コインベースは、2024年6月、リサーチ企業History Associatesと共同で、SECに対して民事訴訟を起こしていた。情報公開法に基づき、SECが仮想通貨に関して行った調査の記録を開示するよう求めるものだ。
背景には、SECの仮想通貨規制の方針が不明確であり、企業に対して恣意的な執行を行っているとの認識がある。しかしSECは文書の開示を渋っていた。
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監査官は、ゲンスラー氏の文書の他、SECの40人以上の上級職員が所有するデバイスから記録が失われた可能性も指摘している。これには、データ破壊が確認された、または疑われるとフラグが付けられた21台のデバイスが含まれている。
コインベース側は今回、History Associatesを原告として裁判書類を提出。SECが情報公開請求が出された際に適切な調査を行っていれば、これらの記録を精査できたか、少なくとも保存措置を講じることができたと申し立てている。
Web3プラットフォームTrade Dog Groupのディレクター、リシャブ・グプタ氏は、もし裁判所によりSECに制裁が科された場合、企業がSECとの裁判で、証拠の取り扱いにおける信頼性と徹底性の点で異議を唱えることができるような「法的前例」になると指摘した。ただ、そのことで訴訟がより複雑化する可能性もあるとしている。
なお、トランプ政権が誕生して新体制となったSECは、仮想通貨に対する方針を前政権と一変させた。以前はガイドラインが不明確でイノベーションを抑圧していると批判されていたところ、規制明確化と仮想通貨に肯定的な方針を打ち出している。
現職のポール・アトキンスSEC委員長は10日、米国が仮想通貨やブロックチェーンを推進していくことを改めて強調。オンチェーン資金調達やスーパーアプリの促進なども含まれる。また、自律型AIエージェントによる金融の可能性にも言及した。
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