「暗号資産は次世代産業」加藤財務大臣、WebXで国際競争力強化と制度整備を語る|WebX 2025
加藤勝信財務大臣は8月26日、アジア最大級のWeb3カンファレンス「WebX 2025」において、ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)を取り巻く動向と金融分野への影響について講演を行った。
加藤財務大臣は冒頭で、1990年代のインターネット普及(Web1.0)、2000年代のSNS・スマートフォン時代(Web2.0)を経て、現在はブロックチェーン技術を基盤とするWeb3.0の時代に入っており、時代が大きく変わろうとしていると述べた。
金融分野においても、フィンテック(金融×技術)という言葉が使われる以前から情報通信技術の発展とともに大きな変革を遂げてきており、近年ではブロックチェーンやAI(人工知能)といった先端技術によって、業務の効率化やサービスの高度化が進展していると説明した。
日本では2016年に資金決済法を改正し、2017年から暗号資産交換業者(取引所)への登録制を導入。その後の2019年の法改正では、「仮想通貨」から「暗号資産」への呼称変更、流出への対応強化、経営破綻時に備えた顧客資産との分別管理や優先返還制度、デリバティブ取引の金融商品取引法への組み込みなどの制度整備を行った。
これらの規制を伴う顧客保護の仕組みや制度整備によって海外以上に信頼性が高まり、国内交換業者における口座数は1,200万口座に達するなど、市場は着実に拡大していることにも言及した。
また、決済分野では、本年3月に米ドル建てステーブルコインUSDCの取り扱いが日本市場で開始され、続いて日本円に連動するステーブルコインについても第一号となる前払式支払手段発行業者の登録が行われ、円建てステーブルコインの国内発行がスタートした。
将来的にはキャッシュマネジメントや国際貿易の決済をはじめとする企業間決済のさらなる効率化への可能性も期待されている。
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さらに加藤財務大臣は、日本が世界に先駆けて暗号資産に関する規制を整備してきた一方、アメリカでは先月議会下院が暗号資産関連法案を審議するなど、各国が次世代産業として暗号資産関連ビジネスを重要視し、「自国の経済競争力を高めようとする総合的な戦略」として日本も捉えるべきだと自身の考えを述べた。
事業者にも大きく影響する税制改正を巡っては、令和7年度(〜2026年3月)の与党税制改正大綱では、一定の暗号資産を広く国民の資産形成に資する金融商品として適正に位置づけることや、他の金融商品と同等の投資家保護のための制度整備、取引業者等による税務当局への報告義務の整備等を前提に、税制の見直しを検討するとされており、金融庁としてもその前提となる必要な対応を検討していく。
最後に加藤財務大臣は、「官だけでも民だけでも変化の激しいイノベーションに対応することはできない」として、官民連携の重要性を強調。
日本の経済発展に向けて、過剰に規制するよりも企業や投資家が新たに挑戦できるようにしてことが国の原動力そのものであり、金融庁としてそうした行動を最大限サポートできる環境を作っていけるよう取り組んでいきたいと抱負を述べ、新たなエコシステムの進化につながる機会になることへの期待を表明し、講演を締めくくった。

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