「ビットコイン・ジーザス」ロジャー・バー、スペイン当局を提訴 脱税容疑めぐり
ビットコイン( BTC )関連スタートアップのエンジェル投資家ロジャー・バー氏は、脱税容疑で米国に身柄を引き渡されることを阻止するため、スペイン当局を提訴した。ブルームバーグが17日に報じた。
バー氏は、2011年頃よりビットコインの可能性にいち早く注目。個人として関連スタートアップなどに多額を投資し、初期の普及に貢献した人物だ。この経歴から「ビットコイン・ジーザス」との呼び名もある。
バー氏は、欧州人権裁判所に訴状を提出。スペイン当局がバー氏を米国に送還し裁判にかけるよう命じたことで、同氏の法的保護を侵害したと主張している。
また、バー氏の弁護士はスペイン当局が起訴状の対象期間中における米国の仮想通貨課税をめぐる法的な「不確実性と不安定さ」を評価していなかったと主張した。
バー氏はビットコイン売却に関連して米国IRS(内国歳入庁)に納税していないとして、懲役最大109年の刑に直面しているところだ。
米国の司法省は、バー氏が2014年、米国市民権離脱前の「出国税」申告において保有ビットコインの価値を大幅に過小評価し、IRSに推定4,800万ドル(約71億円)の未払い金を抱えていると主張していた。
また、その後2017年、バー氏は米国で設立した2つの法人である「メモリーディーラーズ」と「アジャイルスター」で約2億4,000万ドル(約355億円)相当の仮想通貨を売却したが、これを隠蔽していたとしている。
カリフォルニア州中央地区連邦検事局は、次のように申し立てた。
米司法省は、郵便詐欺、脱税、虚偽の納税申告など8件の罪でバー氏を起訴。2024年にバー氏は司法省の依頼を背景にスペインで逮捕されている。
同年12月、バー氏は8件の起訴すべてを棄却するよう申し立てた。200万ドル(約3億円)以上の資産を保有する米国市民が国外に移住する際に課される出国税は違憲であり、政府の主張は「許しがたいほど曖昧な根拠」に基づいていると主張している。
バー氏の弁護士は、米司法省による起訴は、バー氏の仮想通貨肯定の姿勢などに対する政治的動機に基づいており、「違憲であり行き過ぎ」であるとも話していた。
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仮想通貨に好意的なドナルド・トランプ氏が大統領に再選した後、バー氏は大統領に恩赦を訴え、ソーシャルメディアでも自身の訴訟について応援を求める活動を行った。
バー氏の解放を支持する人々の間には、トランプ大統領が最近恩赦を与えたロス・ウルブリヒト氏も存在。2月、いかなる者も納税をしなかったという理由だけで残りの人生すべてを刑務所で過ごすべきではないと述べた。
支払うべき税金があればそれを支払わせ解放すべきと意見する格好だ。
ウルブリヒト氏はダークウェブ「シルクロード」の創設者。2015年にマネーロンダリングや麻薬密売の共謀などの罪で終身刑を宣告されて服役していたが、トランプ大統領が公約通りに恩赦を行った。
一方で、イーロン・マスク氏などからは、バー氏は米国市民権を放棄しているために恩赦を受けることは難しいとの意見が上がっていた。
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