懐疑派ウォーレン議員、トランプ政権批判で仮想通貨市場規制強化案を提案 ガーリングハウスCEOの証言にも注目
米上院銀行・住宅・都市問題委員会の民主党幹部メンバーであるエリザベス・ウォーレン議員は、9日に開催された同委員会の公聴会で、暗号資産(仮想通貨)市場の構造に関する法案の枠組みとして、五つの原則を発表した。
仮想通貨懐疑派で知られるウォーレン議員は、共和党議員らは「仮想通貨ロビーの望みを叶える業界への新たな援助」を実現するかのような「緩い規制づくり」を目指していると指摘。特にトランプ大統領とその一族が、仮想通貨関連事業を通して多大な資産を築いていることに言及し、「大統領ほど弱い仮想通貨規制を望んでいるものはいない」と批判した。
そして、金融システムを悪化させるのではなく、強化する仮想通貨関連法が必要だとして、以下の五つの指針を提案した。
ウォーレン議員は、下院で来週採決予定のデジタル資産市場明確化法案であるCLARITY法案(デジタル資産市場明確化法案)に言及し、この法案は「非仮想通貨企業が証券取引委員会(SEC)の規制を回避するために、資産をトークン化することを可能にするものだ」と批判した。
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この公聴会は、仮想通貨市場の構造に関する包括的な立法の必要性を議論するために開催され、業界からは、ブロックチェーン協会CEOのサマー・マーシンガー氏、チェイナリシスCEOのジョナサン・レビン氏、リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウス氏が証言者として参加。元商品先物取引委員会(CFTC)委員長のティモシー・マッサド氏も、規制の枠組みについて、専門的見解を提供した。
ガーリングハウス氏は、「過去10年間、仮想通貨を取り巻く法的および規制上の不確実性が、米国における意義ある進歩を阻んできた」と証言。「リップル社では、明確なルールの欠如がいかにして善良な行為者を標的にするために利用されるかを目の当たりにしてきた」と述べた。
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上院銀行委員会のティム・スコット委員長(共和党)とシンシア・ルミス上院議員、トム・ティリス上院議員、ビル・ハガティ上院議員は6月24日に、仮想通貨の市場構造に関する包括的な法案のため、6つの原則を発表した。
共和党案は、仮想通貨の法的分類を明確化し、規制当局間の管轄をより明確に割り当てるものだ。また、仮想通貨の自己管理権の明示的な保護や「責任あるイノベーション」を促進する規制要件など、今回、ウォーレン氏が発表した原則とは対照的な内容となっている。
スコット議員は、同委員会の共和党議員らが提示したのは、「商品とは何か、証券とは何かという明確な定義の必要性とデジタル資産がいかにしてイノベーションを促進しつつ投資家を保護する形で取引・保管されるのかを認識する原則」であったと述べた。
そして、「米国にはこれ以上の障害は必要ない。必要なのは実際に機能するルールだ」と強調した。
トランプ政権は、複数の仮想通貨法案の近日中の成立を目指している。米下院指導部は3日、7月14日の週(14~20日)を「仮想通貨週間」に指定し、GENIUS法、CLARITY法、反CBDC監視国家法の3つの主要法案を審議すると発表した。
ステーブルコイン規制であるGENIUS法案については下院での審議に移っており、トランプ大統領による署名も視野に入ってきている状況だ。
一方、デジタル資産市場明確化法案(CLARITY法)については、スコット議員は上院が法案を完成させる期限について9月末を想定していると明らかにした。
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