ビットコイン上昇の背景に「大きく美しい法案」=The Kobeissi Letter
金融市場を分析するThe Kobeissi Letterは11月、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン( BTC )は米国の財政赤字に対するヘッジ手段になっていると述べた。
ビットコインが2025年4月の安値から55%上昇し、過去最高の11万5,000ドルを記録する一方、米ドルは半年で約11%下落していると指摘。この二つの現象には関係があるとしている。
なお、記事執筆時点では米ドルインデックス(DXY)は年初来で約10%下落しているところだ。
The Kobeissi Letterのアナリストは、今年4月にビットコインは貿易戦争への懸念から一直線に下落していたと指摘。4月9日に米トランプ政権による関税導入が90日間延期された際には、ビットコインは底値を付けていた。
一方でその後4月20日、大きなニュースもないままに、ビットコインの本格的な上昇が始まった。
アナリストは、この頃にイーロン・マスク氏が政府効率化省(DOGE)から撤退する意向だと報じられ始めており、これが背景にあったのではないかと示唆している。その上で、マスク氏がDOGEから撤退したことは、米国の財政赤字に関する危機が深刻であることを示す最初の兆候だったと意見した。
さらにその後、市場がトランプ大統領の「大きく美しい法案(OBBB)」の可決を織り込み始めると、ビットコインは急騰したと続ける。
この法案(財政赤字拡大法案)は、議会予算局(CBO)の試算によると今後10年間で3.4兆ドル(約500兆円)の財政赤字拡大をもたらすとされるものだ。債務上限も5兆ドル(約740兆円)引き上げられた。
この内容について識者からは、市場でインフレを懸念する声が強まっている一方、投資家がインフレヘッジとしてビットコインへ関心を高めているとの見方もされているところだ。
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7月1日にはOBBB法案可決の可能性が高まり、7月3日には米国下院がOBBBを可決、7月4日にはトランプ大統領が署名している。The Kobeissi Letterのアナリストは、この動きがビットコイン上昇と足並みを揃えていたと評価した。
さらに、トランプ大統領が各国に対して関税の通知を行い、貿易戦争を激化させているにもかかわらず、米ドルは下落しているとも指摘する。
過去の例では、米国主導の貿易戦争は米ドルを下落させるのではなく、押し上げるはずだが逆の現象が起こっている形だ。
アナリストは、マスク氏が「アメリカ党」がビットコインを受け入れるかどうか尋ねられた際に「法定通貨(米ドル)は絶望的だ。だから受け入れる」と発言していたことにも言及した。
マスク氏はDOGEを退任してからトランプ大統領との対立を鮮明にしていたところだ。特に、「大きく美しい法案(OBBB)」に関して「無駄遣いと汚職で国を破綻させることに関しては、一党制であり民主主義ではない」と厳しく批判していた。
「米ドルは絶望的」という発言の背景には、OBBB法案によるインフレ、つまり法定通貨の価値下落をマスク氏も懸念していることがある。
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