米仮想通貨取引所コインベース、「LiquiFi」買収でトークン発行支援事業強化へ
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは2日、トークン管理プラットフォーム「LiquiFi」を買収すると発表した。
LiquiFiは、トークンの所有権、べスティング(権利確定スケジュール)スケジュール、法的順守などのワークフロー管理に最適化されたプラットフォームだ。ユニスワップ財団やOPラボなどもトークンのローンチと管理に活用している。
2022年にベンチャーキャピタルのDragonflyが主導したシードラウンドで、500万ドル(約7億円)を調達していた。
コインベースは、LiquiFiにより、トークンを発行する開発チームを初期段階からサポートできるようになると述べた。
発行者がトークンをローンチする上ではキャップテーブルのスプレッドシート、カスタムのベスティング・スクリプト、法務、税務、コンプライアンスといった、複雑なハードルがあると指摘。LiquiFiは、主要なワークフローを自動化し、こうした課題を解決するとしている。
なお、キャップテーブルとは、誰が、どれだけのトークンを保有しているかを一覧で管理する表のことだ。
コインベースによると、将来的には、こうした機能を機関投資家向けサービス「Coinbase Prime」に導入し、カストディ、取引、資金調達などの機能とも統合を強化していく計画である。
トークンのローンチがスタートアップ企業による株式発行よりも容易、迅速で、グローバルな展開を可能にするような将来を構想していると述べた。
今回の買収について取引条件など詳細は発表されていない。OKXやバイナンスなどの仮想通貨取引所も、トークン・ローンチプラットフォームを提供しているところだ。
関連: コインベースCEOが語る、仮想通貨が普及するための3つのフェーズ
コインベースは、様々な分野で買収を積極的に行っている。
5月には、大手デリバティブ取引所デリビット(Deribit)の買収で合意したと発表。買収金額は約29億ドル(約4,162億円)で、2025年末までに取引が完了する見通しである。仮想通貨業界では史上最大規模の買収となる見込みだ。
関連: コインベース、デリビット買収合意時価総額1兆ドルへ成長の可能性
その他に、1月にはオンチェーン広告プラットフォーム「Spindl」を買収した。ブロックチェーン開発者がオンチェーンで拡散されるようにすることや、広告の配信先を見つけることを支援するとしている。
また、プライバシー重視のブロックチェーン「Iron Fish」や、ブロックチェーンベースの検索エンジン「Roam」の開発チームも今年に入ってから買収した。
コインベース株は、6月27日に過去最高値を更新し382ドルまで急騰。現在は354ドル付近で推移しており、年初来では約38%上昇しているところだ。
背景には、トランプ政権下、米国で仮想通貨規制の明確化が期待されていること、米上院でのステーブルコイン規制法案の可決などが挙げられている。
Aptos LabsがYellow Cardと提携、アフリカ20カ国で手数料無料のステーブルコイン送金開始
Aptos LabsとYellow Cardが提携し、アフリカ20カ国で手数料無料のステーブルコイン送金サービスを開始した。USDT・USDC対応で即時決済を実現し、数百万人のユーザーがステーブルコイ...
ストラテジー社のビットコイン財務戦略:価値創造と潜在リスクの両面
米国のストラテジー(マイクロストラテジー)などビットコイントレジャリー企業の財務モデルを軸に、株式を通じた投資の仕組みやレバレッジ効果、税務上のメリットなどを解説。日本のメタプラネットなど類似上場企業...
スイスFINMA規制のAMINA銀行、リップル社RLUSDを世界初サポート
スイス金融監督局(FINMA)規制下のAMINA銀行が、リップル社の米ドル建てステーブルコイン「RLUSD」の取扱いを開始。時価総額660億円超のRLUSDをサポートする世界初の銀行として、機関投資家...