XRP Ledger、2025年Q2にEVM互換サイドチェーン稼働開始|イーサリアムDAppsとの相互運用性実現
リップル社は6月11日、シンガポールで開催中の「APEX 2025カンファレンス」において、XRP Ledger(XRPL)のイーサリアム仮想マシン(EVM)互換サイドチェーンが2025年第2四半期に正式稼働を開始すると発表した。
EVM互換性により、XRPLはイーサリアムベースの分散型アプリケーション(DApps)やスマートコントラクトをシームレスに実行できるようになる。これにより、イーサリアムエコシステムで開発された既存のアプリケーションをXRPL上で動作させることが可能となり、開発者にとっての参入障壁が大幅に低下することが期待される。
XRPLのEVMサイドチェーンは、メインチェーンとは独立したブロックチェーンとして機能する。独自のコンセンサスアルゴリズム、トランザクションタイプ、ルール、バリデータノードを持ち、メインチェーンのスピードや効率性を損なうことなく、両チェーン間での価値の移動を可能にする設計となっている。
このEVMサイドチェーンの開発は2022年から段階的に進められてきた。Peersyst Technologiesは2022年10月にテスト版をリリースし、開発者向けネットワーク「Devnet」での運用を開始した。当初から3段階の開発計画が示され、最終段階ではパーミッションレスなEVM互換サイドチェーンとブリッジをXRPLメインネットで展開することが目標とされていた。
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2024年9月には、リップル社がプログラム可能性の強化を発表。開発者や起業家、ユーザーのために様々なユースケースに合わせたカスタマイズ性を強化し、イノベーションを加速させることを目指すとしていた。
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開発を担当するPeersyst Technologiesによると、今年初めに稼働を開始したテストネットは急速な成長を遂げている。同社はXで「これまでXRPに関わっていなかった87の新たな組織が、インフラ、アプリケーション、需要創出といった形でエコシステムに貢献している」と報告。
さらに「メインネットが稼働すると、これらすべてがXRPエコシステムの一部となり、XRP史上最大規模のオンボーディングとなる可能性がある」と期待を示した。
XRPLのEVMサイドチェーンは、独自の合意形成の仕組みや取引ルールを持つ、完全に独立したブロックチェーンとして設計されている。サイドチェーンは専用の検証ノード(バリデータ)群を使用し、メインチェーンの検証ノードとは別の信頼できるノードリストを構築する。この設計により、メインチェーンとサイドチェーンは互いに干渉することなく、それぞれが最適なパフォーマンスを発揮できる。
この実装により、イーサリアムで作成されたスマートコントラクトの移植、MetaMaskなど既存のウォレットとの連携、DeFi(分散型金融)アプリケーションの利用が可能となる。専用のブリッジ技術を通じて、XRPLの高速性(3~4秒)と低コストを維持しながら、両チェーン間で安全に資産を移動できる。
リップル社は2025年2月に発表した開発計画において、XRPLが「規制に準拠したオンチェーン金融」を主導する地位を固めていると強調した。機関向けDeFiの次のフェーズでは、流動性の高さ、コンプライアンス機能、シームレスな機関対応を備えたXRPLが活用されることが期待されている。
EVMサイドチェーンの稼働により、ユーザーは流動性プールへの参加、イールドファーミング、レンディングプロトコルなど、様々なDeFiアプリケーションを通じて収益を得る機会が提供される。特に、XRPLの特徴である低い取引手数料と高速な決済時間は、DeFi取引において大きな競争優位性となることが期待される。
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第2四半期のメインネット稼働に向けて、すでに多くの開発者とプロジェクトがエコシステムへの参加を表明している。EVMとの互換性確保により、イーサリアムエコシステムで培われた豊富なツールやライブラリ、開発ノウハウをXRPL上で活用できるようになることは、ブロックチェーン業界全体の相互運用性向上にも寄与すると見られる。
リップル社によるプライム・ブローカレッジ「Hidden Road」の買収など、金融インフラとの統合も進んでおり、XRPLは単なる国際送金プラットフォームから、より包括的な金融サービスプラットフォームへと進化を遂げている。EVMサイドチェーンの稼働は、この進化を加速させる重要なマイルストーンとなることが期待される。日本においても、XRPL Japanがコミュニティ活動を展開し、国内での採用促進に取り組んでいる。
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