ルミス議員「ビットコイン法こそ米国の債務危機を解消可能する唯一の手段だ」
ビットコイン(BTC)推進派として知られるシンシア・ルミス米上院議員(ワイオミング州・共和党)は2日、連邦議会の演説で、同氏の提出したビットコイン法が36兆ドル(約5,200兆円)に上る国家債務危機を解決できると主張。トランプ大統領も同法案を支持していると述べた。
ルミス議員は、ビットコイン準備金の構想は、国家債務の解決に対処すると同時に、金融イノベーションにおける世界のリーダーとしての米国の地位を確固たるものとすると強調した。
ビットコインの利用が拡大するにつれ、システム全体の安全性と堅牢性、世界中の人々のニーズへの対応能力が向上することが見込まれると指摘。米国がビットコインの活用で世界をリードする存在になるべきだと主張した。
「国家的な投資最適化により革新、技術、競争力を促進する法(BITCOIN法)」は、2024年7月にルミス議員によって初めて議会に提出された。そして、トランプ大統領が進める戦略的ビットコイン準備金計画を法制化するため、今年3月11日に再提出された。
これは、トランプ大統領が署名した戦略的ビットコイン準備金とデジタル資産備蓄の大統領令を立法面から補強するものとなる。
法案の内容としては、米国政府は5年間で、ビットコイン総供給量の約5%に相当する100万BTCを取得することを目指し、ビットコインの戦略的国家資産としての位置付けを強化する。これは、米国の金(ゴールド)準備高に匹敵する規模となる。
また、取得したビットコインは財務省が管理する分散型の安全な保管施設に保管され、少なくとも20年間は売却せず、連邦政府の債務返済にのみ使用される。
トランプ政権は、米国を「ビットコイン超大国」かつ「仮想通貨の世界的首都」と位置づける戦略を積極的に推進している。また、米国の国家債務やインフレ懸念に対抗する手段として、ビットコインの価値保存機能を高く評価している。
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ルミス議員は連邦議会の演説で、米国が直面している債務危機がいかに深刻な状況であるかを強調。「このシステムは信頼の上に成り立っており、借りたものを返せなければ、その信頼は失われてしまう。」と述べ、大恐慌より深刻な事態に直面する可能性があると警告した。
さらに、このまま紙幣を増刷し続ければ、ドルの価値は破壊され、国家をハイパーインフレに陥れると指摘。「ジンバブエやワイマール共和国のようなインフレレベル」で、一般市民の生活が崩壊してしまうような未来をアメリカ国民に経験させたくないと述べた。
ルミス議員は米国の未来について、以下の三つのシナリオを提示し、テクノロジーという選択肢の重要性について強調した。
さらに、ドルが、英国ポンドのように世界の基軸通貨の地位を失うリスクを警告。発行上限のあるビットコインこそが、インフレ対策と金融システムの信頼回復に有効な手段であり、実物資産を取得することの重要性を強調した。
トランプ大統領の支持を得ていても、ビットコイン法案が連邦議会で実際に可決成立するには、まだ多くの課題がある。反対派は、ビットコインのボラティリティや投機的性質、貨幣政策への懸念やを表明。長期的な資産管理の不確実性も問題視している。今後、議会での支持を増やしていくことが実現への鍵となる。
一方、テキサスやアリゾナなど複数の州でもビットコイン準備金法案が進行中であり、これらの州での成功が連邦レベルでの議論を加速させる可能性に期待が寄せられている。現在、さまざま州で18の法案が審議中であり、州レベルでのビットコイン準備金に関する動きは活発に続いている。
アリゾナ州では、ビットコイン準備金に関する法案SB1025が議会で承認されたものの、ケイティ・ホブス知事が拒否権を行使して、成立には至らなかった。同州では、もう一つ「デジタル資産準備金」設立に関する法案SB1373も議会で可決されており、今後のホブス知事の動向が注目されている。
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テキサス州では3月6日、ビットコイン戦略準備金法案が上院で可決され、下院での審査を待つ状態だ。ニューハンプシャー州でも同日、州下院委員会で、公的資金の最大5%をビットコインや他の貴金属に投資することを許可する法案HB302が可決された。この法案は5月2日に同州の上院の第2読会で承認され、第3読会での審議に進む。そこで承認されると、全体議会での投票となる。
また、オクラホマ州では戦略的ビットコイン準備金法案が下院を通過し、上院での審査へと進んでいる。この法案は時価総額5000億ドル以上のデジタル資産への投資を認めており、退職年金基金への適用も含まれている。
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