ビットコイン採掘の持続可能エネルギー利用率が50%超え、イーロン・マスク氏のBTC購入再開条件を満たしたか
ケンブリッジ大学のオルタナティブ金融センター(CCAF)は28日、暗号資産(仮想通貨)マイニング業界についてのレポートを発表した。ビットコイン( BTC )マイニングにおける持続可能なエネルギー(電力)利用率は52.4%に達したと報告している。
テスラがビットコイン決済を再開する条件をクリアした可能性があり、今後が注目される。
CCAFは、23カ国で事業を展開する49社のマイニング企業を対象に調査を行った。対象となった企業には、Hut 8、クリーンスパーク、マラソン、ライオットなど大手が含まれており、世界のビットコインマイニング・ハッシュレートのうち、約48%をカバーしている。
レポートによると、持続可能なエネルギー源の9.8%は原子力、42.6%は風力や水力などの再生可能エネルギーによるものだった。
また、ビットコインマイニングで使用される最大のエネルギー源としては、天然ガスが石炭に取って代わっている。天然ガスの使用割合は2022年の25%から38.2%に増加しており、一方で、石炭の使用量は36.6%から8.9%に減少した。
CCAFは、マイニングマシンの電力効率が大幅に上昇していることも指摘した。2021年1月時点では、60 J/TH(ジュール/テラハッシュ)強であったが、2024年末までに23.7 J/THまで効率性が上がった。
テラハッシュとは、1秒間に1兆回の計算のことである。調査結果は、テラハッシュの計算を行うために消費される電力が、年を追うごとに減少していることを意味している。主に、マイニングマシンの進歩が背景にある。
一方で、世界の推定ネットワークハッシュレートは、同期間において143 EH/s(エクサハッシュ/秒)から796 EH/sへと455%へと大幅に増加していた。なお、エクサハッシュは1秒回に百京回の計算を行う能力のことだ。
計算量が増えることでエネルギー使用量も増えることになるが、マイニングマシンの効率が上がっているために、年間電力消費量は2倍強への増加にとどまっている。
イーロン・マスク氏率いるテスラは、2021年に米国でビットコイン決済を導入したが2ヶ月弱で中止。マスク氏はその際、マイニングのクリーンエネルギー使用率が50%に達した際にはビットコイン決済を再開する可能性があると話していた。
マスク氏が「クリーンエネルギー」をどう定義しているかにも左右されるものの、今回のレポートによれば、その条件が整った可能性がある。今後テスラの動向が注目されるところだ。なお、テスラはビットコインを財務資産として保有する企業の一つであり、その量は3月末時点で11,509BTC(時価1,550億円相当)と報告されている。
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なお、ビットコイン・マイニングの電力消費については、3月にハーバード大学主導でNature Communications誌に発表された論文が議論を呼んでいるところだ。
この研究は、米国におけるビットコインマイニングにより、2022年半ばから2023年半ばの間に190万人の米国人がPM2.5の濃度上昇にさらされたと主張している。
また、米国の大手ビットコインマイニング施設34か所を追跡調査し、これらの施設がロサンゼルス市の電力消費よりも33%多い、32.3TWh(テラワット/時)の電力を消費していると論じた。また、その85%は化石燃料によるものだと述べている。
この内容については反論も上がっているところだ。エネルギーと環境の持続可能性、およびビットコインマイニングの専門家であるダニエル・バッテン氏は、この論文は、欠陥のある手法と恣意的に選ばれたデータを用いていると話した。
2023年時点で誤りであることが指摘された旧来の手法を用いたものであり、政策立案者や規制当局は、この論文を真剣に受け止めるべきではないとしている。
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