農林中央⾦庫は5日、自社グループとして初めてデジタル証券(ST)事業に参入すると発表した。
同社の100%子会社である農中信託銀行が、ケネディクス、KDX STパートナーズ、SBI証券、プログマ社と協業。デジタル資産の発行・管理基盤「プログマ」を活用して、不動産STを組成することを計画している。
今回の案件化に参加する企業はそれぞれ、これまでも連携してきた。例えば、農中信託銀行は2025年4月にプログマ社に出資した。
両社は、デジタル資産発行市場の発展と新たなデジタル資産の開拓に取り組むと同時に、従来は大型の機関投資家にしか提供できなかった多様な金融商品や農林水産業関連に由来する非金融資産のデジタル資産化などを通じて、中長期的には系統団体や組合員を含む投資家への新しい投資機会の提供を目指しているという。
今回発表された不動産STにおける各社の役割は以下の通りだ。
農中信託銀行は、STの裏付けとなる不動産を預かり、受益権原簿の管理を担当。これまで農林中央⾦庫グループとして培ってきた、流動化や証券化の知見とノウハウを活用する。
そして、STの引受と販売を担うのがSBI証券。また、ケネディクスは不動産の供給とスキーム組成を、KDX STパートナーズはST組成後の期中運用や投資家への情報開示などを担当する。
プログマ社は農中信託銀行とSBI証券に自社のプロダクトである「Progmat SaaS」を提供。円滑な業務遂行をサポートする役割を担う。
農林中央⾦庫はProgmat SaaSについて、広範な金融機関が自社サーバー上にブロックチェーンのノードなどを構築することなく、容易にデジタル資産関連事業を開始することを可能にすると説明した。
また、広範な証券会社や仲介者が、投資家の秘密鍵管理などを第三者(カストディアン)に委託することなく自社で完結することも可能にするプロダクトであると述べている。
プログマ社の齊藤達哉CEOによれば、初号案件は12月にローンチする予定だという。
今後については、農林中金グループとして今回初めて不動産ST案件に携わることをきっかけにして、農林中央⾦庫と農中信託銀行は、ブロックチェーン技術を活用したデジタル資産を含む様々な金融ソリューションが持つ可能性や将来性に関するさらなる研究や追求をグループ一体で進めると説明した。
また、その活動を通じて、農林水産業の発展や系統団体・組合員の資産形成などをはじめとするステークホルダーに対する多様な経済的・社会的価値の提供を実現できるように取り組みを推進していくとも述べた。
なお、公開情報を基にプログマ社が集計したデータ(今回の発表に掲載)によると、国内市場におけるST案件の残高総額は約9,104億円。ST発行累計額は約4,673億円で、案件数は102、参入証券会社の数は16社(+自己募集事業者)だという。
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