北朝鮮のハッカー集団ラザルス・グループ(Lazarus Group)がこれまでに盗んだ仮想通貨は、累計118.7億ドルに達した。CryptoQuantの寄稿アナリストDarkfost氏が11月1日、バイナンスから60億ドル超が流出した事件を加えた集計としてXに投稿した。
同氏は韓国銀行の2025年の推計値をもとに、この額が北朝鮮の国内総生産(GDP)の45%、国民総所得(GNI)の35%に相当すると試算している。韓国銀行は北朝鮮の名目GDPを公表しておらず、45%は実質GDPで割った値と一致する。複数年にわたる窃取の累計を1年分の経済規模と並べた数字である点にも留意が必要だ。窃取額の一部は資金洗浄の過程で失われたとも、同氏は指摘した。
韓国銀行が7月に公表した推計によると、2025年の北朝鮮の実質GDPは38兆2,640億ウォンで、前年比3.5%増えた。名目GNIは48兆5,451億ウォンで、韓国の56分の1にとどまる。1ドル=1,440ウォンで換算すると、実質GDPは約266億ドル、名目GNIは約337億ドルとなる。
ブロックチェーン分析企業Chainalysisは2025年12月の年次レポートで、北朝鮮による仮想通貨の窃取額を記録開始以来の累計で少なくとも67.5億ドルと推計していた。これにバイナンスの流出額を単純に足すと127億ドルを超え、Darkfost氏の試算を上回る。集計の基準が異なるため、両者を直接比べることはできない。
FBIが北朝鮮の犯行と発表したバイナンスの流出額は60億ドルを超える。118.7億ドルの累計のうち、半分以上を今回の1件が占める計算だ。Darkfost氏は、バイナンスの事件が北朝鮮のハッカー集団にとって、これまでで最も実入りの大きい攻撃になったとみている。
これまでの最大は、2025年2月に約15億ドルが流出したバイビット(Bybit)の事件だった。今回の被害額はその4倍を超え、仮想通貨の盗難として過去最大の規模とされる。
米連邦捜査局(FBI)は10月31日(米国時間)、10月29日ごろに起きたバイナンスの流出を、北朝鮮のサイバー活動「TraderTraitor」によるものと発表した。TraderTraitorはラザルスの下部組織とされ、Bybit事件でもFBIが実行主体と特定している。FBIによると、盗まれた資産は主にイーサリアム( ETH )へ転換されており、今後はDeFiやインスタントスワップサービスで交換され、さらに資金洗浄される見込みだという。
バイナンスは被害の発覚後にすべての出金を停止し、損失はユーザー保護基金「SAFU」と自社資金で全額補填すると表明した。同社は盗まれた仮想通貨の約90%を補充したとしており、ビットコイン( BTC )ネットワークから順次出金を再開している。

.jpg)
