世界最大級の仮想通貨取引所バイナンスは31日、ハッキング被害の損失をユーザーではなく同社が負担するとして、63億4000万ドル超(約1兆円)の自社資金を補償に確保したと明らかにした。うち50億ドルは流出したトークンと同じ銘柄で保有しており、被害額の約80%分を用意済みだという。
バイナンスは、不足するトークンを被害資産と同じ銘柄にそろえるため、残る約20%分を市場取引と店頭取引で買い付けている。30日の声明では、流動性の低いトークンがある可能性や店頭取引の決済に時間がかかることから、この工程が長引くことがあるとした。
補償にはユーザー保護基金(SAFU)と自社の財務資金を充て、確認された不足分は今後も自社資金で補う方針だ。凍結または保護された資産(現在の凍結額は約30億ドル)は今回の数字に含まれず、当局やパートナーと回収を進めている。
米国の仮想通貨政策専門ジャーナリストのエレノア・テレット氏によると、バイナンスの広報担当者は、顧客資金は影響を受けていないと説明した。同氏は、流出は同社が管理し法的に所有するオンライン接続型のホットウォレットにあったもので、補填資金がなければ一部の顧客の回収額が減る可能性もあったと解説した。
今回のハッキングでは、30日午前5時5分ごろ(日本時間)にバイナンスのホットウォレットが侵害され、約63億ドル相当のトークンが流出した。対象にはビットコイン、イーサリアム、ステーブルコインのUSDC・USDTなどが含まれる。
出金サービスの一時停止を受け、バイナンスの技術チームは、安全確認の完了を条件に約34時間以内に再開を始めることを目標とし、段階的に進める方針を示した。ユーザーが残高の裏付けを確認できる準備金証明(Proof of Reserves)は、12時間後に最初のスナップショットを取り、結果を11月2日(月)までに用意する予定だと説明した。
また、調査では、当初示したノートパソコンの侵害の可能性に加え、他にも複数の侵入箇所が見つかっており、ウォレットの秘密鍵が漏えいした痕跡は確認されていない。技術的な調査結果は、検証と捜査への影響を確認した上で約48時間以内に共有し、事後検証の報告書も公表する方針だ。


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