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お湯を沸かすとビットコインが貯まる──「マイニングする給湯器」は本当に得なのか考えてみた

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お風呂やシャワーのお湯を温めながら、ビットコインをマイニング(採掘)する。米Heatbitが2026年10月22日、そんな製品「Bitwater(ビットウォーター)」の予約受付開始を発表しました。

同社の発表によると、既存の電気温水器に取り付ける製品で、初回価格は899ドル、日本円で約14万1,000円です。米国・カナダ向けに、2027年1〜3月の出荷を予定しています。本稿の円換算には、計算用の為替レートとして1ドル157円を使います。

毎日使うお湯をつくりながら、給湯代の一部が戻ってくるなら魅力的です。約14万円の部品代まで取り戻せるのか、エコキュートのような省エネ給湯器と比べても得なのか。公表仕様とマイニングデータから計算してみました。

給湯器の発熱部分を、ビットコインのマイニング機器に

メーカーの説明によると、Bitwaterは電気温水器の下部ヒーターを、ビットコインのマイニング機器に置き換える製品です。公表されている性能は最大34TH/s、消費電力は最大600W。上部のヒーターは残し、お湯が足りないときの補助に使う設計とされています。

ビットコインのマイニングでは、専用のチップが膨大な計算を繰り返し、新しいブロックを追加する権利を競います。ブロックの生成に成功した参加者は、新規発行されるビットコインと取引手数料を報酬として受け取ります。計算には電気が必要で、動作するチップからは熱が出ます。

通常なら冷却して逃がす熱を、水を温めるために使うのがBitwaterの仕組みです。電気を熱に変えるまでの間に、ビットコインのマイニングもさせるという発想です。

公式FAQによると、Bitwaterの初期設定は「ソロマイニング」で、自分の機器がブロックの生成に成功したときに報酬を受け取る方式です。複数の参加者が計算能力を持ち寄り、貢献に応じて報酬を分け合う「プールマイニング」へ、アプリから切り替えられると案内されています。

この後の収支計算では、プールマイニングに切り替えて使う条件を置きます。

「暖まるとコインが貯まる」家電は、10年以上前からあった

マイニングの熱を家庭で使う製品をたどると、2013年までさかのぼります。Hotmineは公式の沿革で、この年にマイニング機器と給湯ボイラーを組み合わせた製品を開発したと説明しています。

その後は、部屋を暖める暖房機や、既存の設備に接続する給湯製品など、さまざまな形で登場してきました。主な製品を、発表・予約受付・出荷の段階がわかるように並べると、次のようになります。

Heatbitが2022年に出荷を始めた暖房機は、当時の同社発表によると、消費電力1,400W、マイニング性能は最大14TH/sでした。部屋を暖めるために使う電気でマイニングも行い、得られたビットコインで暖房費の一部を補うという商品設計です。

暖房機の場合、部屋を暖める必要がない季節には熱の使い道がなくなります。その点、お風呂やシャワーのお湯は一年を通して使います。給湯に組み込めば、冬以外にもマイニング熱を利用できますが、必要なお湯を温め終われば加熱を止めるため、収支は家庭で使うお湯の量にも左右されます。

月9,300円の給湯代から、いくら取り戻せる?

ここからは、日本の電気料金を当てはめた試算です。1カ月に300kWh分の熱をお湯づくりに使い、電気料金は1kWh当たり31円とします。31円は、全国家庭電気製品公正取引協議会が示す家電の電気代計算用の目安単価です。

電気をそのまま熱に変える電熱式で、熱損失を考えずに300kWh分の熱をつくると、月の電気代は9,300円です。Bitwaterも消費した電気を給湯の熱として使うと考え、マイニング収入でどこまで負担を減らせるかを見ます。

試算では、メーカー公表の最大値を組み合わせ、600Wで動かしながら34TH/sのマイニング性能が出ると仮定します。600Wで300kWh分の熱をつくるには月500時間、30日で割ると1日約16.7時間の稼働が必要です。機器の放熱損失や補助電力を省き、使った電力がすべて給湯の熱になるモデルとして計算します。

マイニング収入には、CloudMineCryptoが公表する2026年10月27日のハッシュプライス、1TH/s当たり1日0.0360ドルを使います。ハッシュプライスは、一定のマイニング性能で1日にどれだけの収入が見込めるかを示す指標です。

34TH/s × 0.0360ドル ×(500時間 ÷ 24時間)= 25.5ドル
これを1ドル157円で換算し、仮に2%のプール手数料を差し引くと、月のマイニング収入は約3,923円と計算できます。電気代9,300円から引いた負担は、この条件では月約5,377円という試算になります。

本体代の回収は、収入一定の試算で約3年

通常の電熱式からBitwaterに替え、同じ量のお湯をつくる条件で、月約3,923円のマイニング収入が続くと仮定します。本体価格899ドルを1ドル157円で換算した14万1,143円をこの収入で割ると、単純回収期間は約36カ月という試算です。同じ条件では、送料や設置費などが1万円増えるごとに、回収期間は約2.5カ月長くなる計算です。

この回収期間には、2028年ごろと見込まれるビットコインの半減期が重なります。半減期には、ブロックを追加したときの新規発行分が、現在の3.125BTCから1.5625BTCへ減る仕組みです。円換算のマイニング収入は、ビットコイン価格、マイニング難易度、取引手数料によっても変わります。

収入減の影響を見るため、最初の1年間は月約3,923円、その後は収入が半分になると仮定したケースも計算してみました。この条件での本体代の回収期間は約5年で、収入一定のケースより約2年長くなる試算です。

エコキュートと比べると、結果が変わる

ここまでの比較相手は、電気をそのまま熱に変える給湯器でした。日本で使われるエコキュートのようなヒートポンプ式は、電気で空気中の熱を集めてお湯を温めます。米国エネルギー省は、ヒートポンプ式給湯器の効率を、通常の電熱式の2〜3倍と説明しています。

効率を3倍と仮定すると、300kWh分の熱をつくるために必要な電気は100kWhです。1kWh当たり31円なら、月の電気代は3,100円になります。同じ量の熱をつくる3つの方法を比べると、結果は次の通りです。

今回の条件では、マイニング収入を差し引いた月額負担は、ヒートポンプ式の方が約2,300円少ない計算です。この運転費の比較には、本体代、工事費、税、保守費、熱損失を含めていません。同じ300kWh分の熱をつくる条件で、Bitwaterの消費電力量は300kWh、効率3倍のヒートポンプ式は100kWhと置いています。

この差は電気料金によっても変わります。マイニング収入を月約3,923円、ヒートポンプの効率を3倍に固定すると、両者の月額負担が並ぶ電気料金は約19.6円/kWhと計算できます。同じ前提のまま電気料金だけを変えると、それより安い場合はBitwater、高い場合はヒートポンプ式の月額負担が小さくなる試算です。

「お湯をつくるとビットコインも貯まる」という製品の得失は、もともと何でお湯をつくっているかによっても変わると考えられます。今回の31円/kWhという条件では、マイニング収入による月約3,900円の負担軽減よりも、ヒートポンプによる月6,200円の電気代削減の方が、毎月の運転費を低く抑えられる計算でした。

参考文献・試算の出典

参照日:2026年10月29日。製品の価格・仕様・販売段階は各社の発表に基づきます。為替レート、給湯量、稼働条件、プール手数料、ヒートポンプの効率は、本稿の計算用に置いた条件です。

Heatbit「Bitwater」公式製品ページ(価格・仕様・マイニング方式・出荷予定)
あたらしい経済「ヒートビット、ビットコイン採掘の熱で給湯する『ビットウォーター』を899ドルで予約受付開始」(2026年10月28日)
Bitcoin Developer Guide「Mining」(マイニングとソロ・プールマイニングの仕組み)
Hotmine「About us」(2013年からの製品開発に関する公式沿革)
01net「Ce radiateur mine des cryptomonnaies pour vous chauffer et vous faire gagner de l’argent」(Qarnot QC1、2018年3月10日)
Bitcoin.com News「Wisemining Reveals Sato Boiler Product — Heat Your Home and Offset Costs by Mining Bitcoin」(2021年3月19日)
Heatbit配信プレスリリース「Heatbit, the World’s First Heater That Mines Bitcoin, Finally Released」(GlobeNewswire、2022年11月14日)
Canaan「Canaan Introduces Revolutionary Bitcoin Mining Heaters for Home and Personal Use in CES 2025」(2025年1月8日)
Superheat配信プレスリリース「CES Award-Winning Superheat H1C Opens Pre-Orders for World’s First Bitcoin-Mining Water Heater」(Newswire、2026年7月16日)
全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問」Q7(電力料金の目安単価31円/kWh)
CloudMineCrypto「Data」(2026年10月27日のBitcoin hashprice:0.0360 USD/TH/day)
米国エネルギー省「Water Heaters: Heat Pumps」(電熱式に対する効率の説明)
Bitcoin.org「Bitcoin Halving」(ブロック補助金と半減期)

※本記事は公開情報をもとに、暗号資産・ブロックチェーン関連技術の活用事例を紹介する一般的な情報提供であり、特定の暗号資産の売買や、製品・サービスの購入・利用を推奨するものではありません。掲載した収支と回収期間は、本文の条件に基づく試算であり、実際の収益や費用削減を保証するものではありません。


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