米国の暗号資産(仮想通貨)業界団体ブロックチェーン協会(BA)は19日、ステーブルコインの発行・提供・販売主体を規定する「ジーニアス法(GENIUS Act)」第3条の施行規則案について、米財務省に意見書を提出した。規制対象と、違法発行への関与が問われる要件を明確にするよう求めている。
規則案は8月17日に公表された。決済用ステーブルコインの発行や販売に関する規制の適用範囲を示し、禁止行為を具体的に定める内容だ。財務省は公表から60日間、パブリックコメントを受け付けており、BAは締切の10月19日に意見書を提出した。
BAは、財務省の規則整備に向けた基本方針を評価した。そのうえで、最終規則が議会の立法趣旨に沿うよう、規制対象を明確かつ限定的に定めるべきだとした。
意見書は26ページにわたる。デジタル資産サービスプロバイダー(DASP)の定義、違法発行への「認識ある関与」の判断基準、海外発行ステーブルコインの取り扱いなどについて修正を提案。自己管理型ウォレットやブロックチェーンのバリデーター、通常の二次市場取引が意図せず規制対象に入る事態は避けるべきだと訴えている。
最初の論点は、規制対象となるDASPの範囲だ。
BAは、DASPの定義を顧客向けにサービスを提供する事業者に限定するよう求めた。自己資金で仮想通貨を売買する事業者、自己管理型ウォレットのソフトウェア提供者、取引検証を担うバリデーターは、DASPに含めるべきではないとしている。
違法なステーブルコイン発行への「違法性を認識した上での関与(knowing participation)」についても、刑事罰が科される可能性があるとして、判断基準の厳格化を求めた。
現行案のままでは、新規発行されたステーブルコインの通常のマーケットメイク業務まで責任追求の対象となりかねないという。BAは、責任を問う要件として、発行の違法性を実際に認識していたことに加え、発行者と協調して実質的かつ積極的に支援したことを挙げた。また、通常の二次市場での取引は、こうした「関与」には該当しないと指摘している。
海外発行の決済用ステーブルコインについては、デューデリジェンス(適正評価手続き)に関する規則案の見直しを求めた。BAは、規則案が直接的な関係のない海外発行者についても、DASPに際限のない調査・確認を求める内容になっていると指摘。規制当局が公表する禁止リストや登録状況の確認を基本とし、不利な事実を実際に把握している場合を除いて、独自調査を求めないよう提案した。
取引相手が米国内に所在するかどうかを判断する基準も論点になった。規則案は「合理的に信じる(reasonably believes)」という文言を使っている。BAは、これを実際に把握している情報や通常の取引過程で得られる情報に基づく基準に改めるよう求めた。
DeFiのようなパーミッションレスな環境では、取引相手のウォレットアドレス以外の情報を得られない場合があるため、追加の本人確認や所在地の特定を求める要件を実装するのは難しいという。
このほかBAは、決済用ステーブルコインの定義を拡げる際、「金銭的価値と機能的に同等か」という解釈の幅が大きい判断基準を外すよう求めた。規制対象の事業者が想定より広範囲に及ぶ可能性があるとして、規制対応コストの試算の見直しも提言している。他の規制当局が進めるジーニアス法関連の規則と、施行時期をそろえることも求めた。
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