米仮想通貨資産運用会社ビットワイズのマット・ホーガン(Matt Hougan)最高投資責任者(CIO)は7日、週次の「CIOメモ」でNEARを取り上げた。第3四半期(7月から9月)の騰落率は、ビットコイン( BTC )が43%、イーサリアム( ETH )が71%。NEARは198%だった。
NEARは「AIのためのブロックチェーン」を掲げ、AIエージェント同士や外部との取引を支える基盤づくりを目指している。ホーガン氏は、大きな長期ビジョンと既存の事業を併せ持つ数少ない銘柄の一つと位置づけた。
創業者のイリア・ポロスキン(Illia Polosukhin)氏は、生成AIの基盤技術トランスフォーマーを提唱した2017年の論文「Attention Is All You Need」の共著者の一人だ。当初はプログラムを書くAIの開発を目指してNEAR.aiを立ち上げた。
世界に散らばるデータラベリング作業者への報酬支払いに仮想通貨を使おうとしたが、既存のブロックチェーンは遅く手数料も高かった。そこで独自チェーンの開発に踏み切った経緯がある。
NEARのメインネットは2020年に稼働した。その後、処理を動的に分割するダイナミックシャーディングと、量子コンピューターへの耐性を持つ署名方式を導入している。テスト環境では毎秒100万件の取引処理を実現した。ホーガン氏はこうした開発手法を、大きな目標から逆算して開発を進めるスペースXの手法になぞらえている。
同氏が評価の柱に据えたのが、クロスチェーン取引基盤「NEAR Intents」の実績だ。ユーザーが実現したい取引内容(インテント、Intent)を示すと、「ソルバー(Solver)」と呼ばれるマーケットメイカーが複数のブロックチェーンをまたいで執行する。累計取引高は300億ドルを超えた。今年の手数料収入は約4,500万ドルに達する見込みで、その一部は買い戻し(バイバック)を通じてトークン保有者に還元される。
NEARは、データを暗号化したハードウェア上でAIを動かすプライベートAI基盤も手がける。この仕組みでは、NEAR自身も利用者のデータを見ることができない。
一方でホーガン氏は、現在のNEARは主にAIエージェント向けのブロックチェーンにはなっていない点を、最大の批判として挙げた。現状の主な利用者は人間だという。
これに対し同氏は、Intentsは一般の人々にとって仮想通貨の利用を容易にしたことで成長したと反論した。製品も収益もないまま数十億ドル規模の評価額で資金を集めるAIスタートアップとの違いにも触れ、NEARには実際の収益があると強調している。
ホーガン氏は、NEARへの投資は「エキサイティングなブロックチェーン事業」を買うことであり、AIという大きな賭けは「おまけ」だと結論づけた。
ビットワイズは9月29日、NEAR現物ETF「NRR」をNYSEアーカに上場した。9月24日付の目論見書によると、保有するNEARの全量をステーキングする方針だ。
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