米銀大手ウェルズ・ファーゴが、仮想通貨取引所クラーケンの親会社ペイワードと、仮想通貨取引向けの流動性供給を巡って協議している。米仮想通貨メディアのCoinDeskが7日、事情に詳しい関係者2人の話として報じた。
協議は継続中で、合意に至らない可能性もあるという。両社はコメントを控えた。
流動性供給とは、取引所が取引市場へのアクセスや注文執行を担う仕組みを指す。クラーケンは銀行が自社サービスに仮想通貨取引を組み込める技術を提供しており、銀行は基盤を自前で構築せずに顧客へサービスを提供できる。
ペイワードは同様の取引をすでに複数の銀行と結んでいる。9月3日には米ソーファイ(SoFi)との提携を発表し、機関投資家向け部門のKraken Primeを、ソーファイのアプリでの仮想通貨売買の流動性供給元に加えた。ソーファイが発行する銀行発行型ステーブルコイン「SoFiUSD」のクラーケン上場や、同行のリアルタイム決済網を使った24時間のドル決済も盛り込んだ。
10月には、バーレーン中央銀行の規制下にあるデジタル銀行Singapore Gulf Bank(SGB)とも提携した。SGBは自社顧客の取引でKraken Primeの流動性を使う。同行の決済網「SGB Net」は月200億ドル超の法定通貨取引を処理しているとされ、ペイワードはこれを自社システムに統合した。
こうした銀行・フィンテック向けの取引基盤は、ペイワードがB2B事業「Payward Services」として展開している。同社は8月の第2四半期業績発表で、銀行やフィンテックなどを対象に据え、取引から資金移動、通貨交換までを単一のAPIで提供すると説明した。
ペイワードを巡っては、カストディ(資産保管)大手のBNYとの協議も先週報じられた。対象は仮想通貨商品やカストディ、ウェルスマネジメント、取引、決済、インフラまで幅広く、いずれもペイワードがPayward Servicesを通じて提供している分野だという。こちらも両社はコメントしていない。
9月10日には、ナスダックが投資部門を通じてペイワードに1億ドルを出資すると発表した。ブルームバーグによると、評価額は210億ドル。両社はナスダックの株式トークン「Nasdaq Equity Tokens(NETs)」を2027年第2四半期に始める計画で、ペイワードはナスダックの市場監視技術を自社の取引市場に導入する。
ペイワードは5月、米通貨監督庁(OCC)に国法信託銀行の設立認可も申請した。認可されれば、機関投資家向けのカストディを連邦規制の下で提供できる。傘下のKraken Financialは米ワイオミング州の特別目的預金機関(SPDI)で、デジタル資産銀行として初めて米連邦準備制度のマスターアカウントを取得したとしている。
ウェルズ・ファーゴは2024年2月、証券部門の顧客を対象に、顧客の求めに応じた現物ビットコイン( BTC )ETFの購入受け付けを始めた。CoinDeskによれば、同行は今回のナスダックによるペイワード出資で、ナスダック側の助言役を務めていた。
2026年6月には、JPモルガン、シティ、バンク・オブ・アメリカと共同で、銀行預金をブロックチェーン上で扱うトークン化預金の共通ネットワーク構想が明らかになった。米決済機関のクリアリング・ハウスが運営し、2027年前半の稼働を目指す。

