スイスの金融大手UBSグループは、ニューヨークでデジタル資産分野2職種の求人情報を公開した。トークン化やステーブルコインへの取り組みを本格化させる動きとして注目を集めている。
まず一つ目は「投資銀行デジタル資産プロダクトマネージャー」である。トークン化、ステーブルコイン、決済基盤、カストディ、DLT(分散型台帳)を使った事業モデルを扱い、フロントオフィスやリスク管理、法務、技術部門などと連携してデジタル資産関連の実証実験を可能にする役割を担う。
担当する商品や事業モデルの構想から試験導入まで一連の職務を受け持つとされる。また、事業計画の作成や、最適な戦略の見極めなども行う。応募要件としては、金融サービス業界での8年以上の経験、特に投資銀行やコンサルティング会社などが望ましいとされている。
二つ目の募集職位は「デジタル資産流通マネージャー」だ。当面の重点はトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)およびトークン化仕組商品で、これらを顧客へ届けるための販売計画を統括する。
販売先として想定されているのは、ディストリビューター(商品を販売する事業者)、ネオバンクやネオブローカー(一般的にスマホでサービスを提供する銀行や証券会社のこと)、オンライン資産運用プラットフォーム、フィンテック企業などだ。
市場側の要望を拾い、商品や基盤の改善提案につなげることが求められる。取引先との直接的な対話により導入障壁、ビジネス上の実情、利用を促進する要因などを把握する役割も担う。
UBS傘下のUBSアセットマネジメントは2024年、イーサリアム( ETH )上に構築された米ドル建てMMF「uMINT」を立ち上げている。
2025年11月には、DigiFTおよびチェーンリンクと共同で、uMINTの購入と償還をオンチェーンで実行。これはチェーンリンクのDTA(デジタル・トランスファー・エージェント)標準を使った、実運用環境でのエンド・ツー・エンドの取引としては初だった。この際UBSは、ファンド業務をオンチェーンで自動化し、効率性と利便性を向上させることが可能であることが証明されたとしている。
ステーブルコインについては今年4月、ポストファイナンス、シグナム、ライファイゼン、チューリッヒ州立銀行、ヴォー州立銀行、スイス・ステーブルコイン社と、スイスフラン(CHF)建てステーブルコインの共同サンドボックスを2026年中に実施すると発表した。
また、7月には決済インフラ企業マージと提携し、初のクロスボーダー・ステーブルコイン決済を実環境で実行している。スイスから複数国へのB2B(ビジネス間)送金を行い、2分以内に完了したと報告した。
マージは公式発表で、これまで国境を越える決済には多数の仲介業者が必要であり、資金の所在がリアルタイムで把握できないなどの制限を抱えてきたが、これを適切なインフラによって解決可能であることが示されたとしている。

