金融庁が17日に公開した資料によると、同庁は7月15日、日本暗号資産等取引業協会との意見交換会で、暗号資産交換業者の一部に、取引所形式よりも収益性の高い販売所形式へ利用者を誘導している可能性があるとの懸念を示していた。金融審議会の「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告書で指摘された論点を踏まえたものだ。
販売所と取引所の両方を提供する事業者では、顧客がどちらを選ぶかによって手数料や価格形成の仕組みが異なる。金融庁は、2024年11月に施行された改正金融サービス提供法で導入済みの「顧客の最善の利益を勘案し誠実かつ公正に業務を遂行する義務」を踏まえ、UI導線について事業者との対話を続ける方針を示した。あわせて、自主規制規則の整備における適合性原則の在り方についても議論を求めた。
意見交換会では、2026年3月6日に改正された犯罪収益移転防止法施行規則にも言及があった。対面で写真付き本人確認書類の提示を受ける現行の確認方法について、対象書類をICチップ付きのものに限定し、当該ICチップの情報の読み取りを必須とする内容で、それ以外の確認方法は原則廃止となる。2025年6月の非対面確認方法に係る改正と同様、施行日は2027年4月1日だ。
犯罪収益移転防止法の対象事業者には暗号資産交換業者も含まれる。金融庁は各金融機関に対し、口座開設時の本人確認フローに関わるシステム対応を含め、施行に向けた準備を着実に進めるよう求めた。
国際的な動向では、金融活動作業部会(FATF)が2026年2月11日から13日の全体会合で採択した声明も取り上げられた。同声明は北朝鮮とイランを対抗措置の適用が要請される国・地域とし、ミャンマーをリスクに応じた厳格な顧客管理措置の適用が要請される国・地域とした。イランについては今回、暗号資産サービスプロバイダーの支店設置禁止や新規コルレス関係の構築禁止など、対抗措置が追加された。
これを受け金融庁を含む関係省庁は2026年4月13日、関係する金融機関・協会に要請文を発出し、取引時確認義務や疑わしい取引の届出義務、暗号資産の移転に係る通知義務の履行徹底を求めた。日本暗号資産等取引業協会に対しても、会員企業への周知徹底が要請されている。

