米シティグループが年内にも、ブロックチェーン技術を用いた「トークン化預金」による海外送金サービスを日本企業向けに開始することがわかった。シティのサービス部門グローバル責任者、シャミール・カリク氏が日本経済新聞の取材で明らかにした。
トークン化預金は、銀行預金をブロックチェーン上で動かせるデジタル形式に置き換え、既存の銀行システムを使って送受金する次世代決済技術だ。
シティによると、外資系金融機関が日本企業向けにトークン化預金サービスを提供するのは今回が初めてとなり、企業はシティが米国や英国、シンガポール、香港、アイルランドに持つ拠点との間で夜間や休日でも外貨を瞬時に送金できるようになる。送金の指示画面で「トークンサービスを使う」欄を選ぶだけで手続きが完了し、事務やリスク管理はすべてシティ側が引き受ける。
シティは1日に約6兆ドルの資金を動かす金融大手で、トークン化預金による送金額だけでも1日10億ドルに上る。従来の海外送金は銀行の営業日に縛られて相手国の祝日には着金が翌営業日以降にずれ込むため前倒しの送金と待機資金が必要だったが、トークン化預金なら支払いを直前まで遅らせられるようになる。
シティは日本を世界の主要5市場の1つと位置づけており、カリク氏は日本などへの参入について「アジア太平洋の主要拠点を包括的にカバーできる」と話した。将来はシティ以外の銀行とも預金をやりとりできる体制を目指し、銀行間の通信網を担うスイフトや、米決済インフラを担うザ・クリアリング・ハウスとの基盤整備を進めている。
日本国内でもトークン化預金を巡る取り組みが進んでおり、DCP、GMOあおぞらネット銀行、アビームコンサルティングの3社は8月末、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」による支援案件「トークン化預金の銀行間決済」に43社が参加したと発表している。


