仮想通貨の市場メイカー大手ウィンターミュート(Wintermute)は2日、これまでの強気相場を支えてきた資金流入チャネルが枯渇に向かっているとの分析をX(旧Twitter)で公表した。
同社は、ICO(新規仮想通貨公開)・VC資金(ベンチャーキャピタル)からステーブルコイン、ビットコインETFや上場企業のトレジャリー戦略へと主役が入れ替わってきた過去の構図を踏まえ、次の担い手としてRWA(現実資産のトークン化)に着目しているとした。
RWAとは、国債や不動産、株式といった現実の資産をブロックチェーン上でトークン化する仕組みを指す。上場企業が自己資金でビットコインなどを保有する経営戦略(DAT)とあわせ、いずれも近年の相場循環を語るうえで欠かせない概念になっている。
同社によると、資金流入は2021年のピーク時で時価総額の12%、2025年は10%に達したが、直近の底では2.4%まで縮小した。ETF・DAT企業はビットコイン( BTC )やイーサリアム( ETH )など主要銘柄を中心に押し上げてきたが、ETF資金は純流出に転じ、DAT株の多くは純資産価値を下回る水準で取引され、ステーブルコインの供給量もテラ崩壊以来の落ち込みを見せたという。
RWAの直近12カ月の流入額は約160億ドルで、オンチェーン資産のトークン化評価額は1年で3倍に拡大し300億ドル台に達した。ウィンターミュートの試算では、ETFはローンチから20カ月、ステーブルコインは33カ月、ICO・VC資金は54カ月でピークを迎えており、RWAはまだ18カ月目。流入額は時価総額の0.9%にとどまるが、同時期のDAT企業を上回るペースだとしている。
背景には規制と実務の両面での環境整備がある。市場構造法制やトークン化の枠組み整備によって保有者の範囲が広がりつつあるほか、トークン化された国債や投資信託が大手取引所やDeFi(分散型金融)で担保として受け入れられ始め、単なる待機資金から実際に稼働する資産へと性質を変えつつあるという。
過去のチャネルは特定の資産にしか買いを届けなかった。VC・ICO資金は新規トークンを、ステーブルコインはDeFiやアルトコインを、ETF・DATは主要銘柄を買う仕組みだった。
一方でRWAの資金はアップル株や国債ファンドといった伝統資産を買うが、その資産自体がオンチェーンに乗るため、結果としてビットコインやアルトコインへの資金移動が起きやすくなるという。
ウィンターミュートは、トークン化された資産が担保やDeFiの領域まで広がるかどうかを注視するとした。直近2週間はETF・ステーブルコイン発行の両チャネルで資金流入がやや持ち直しているが、ピーク時の水準にはなお届いていない。


