コインチェック株式会社の親会社であるCoincheck Group N.V.(ナスダック上場、ティッカー:CNCK)は8月31日、フランス・パリに本社を置くウォレット基盤企業ディフェンス(DFNS)と戦略的パートナーシップを締結したと発表した。コインチェック株式会社が、DFNSの技術導入を通じて日本の金融機関向けに機関投資家水準のカストディ基盤の構築を目指す。
カストディとは、顧客に代わってデジタル資産の秘密鍵などを保管・管理するサービスを指す。今回の提携では、DFNSの技術をコインチェックへ導入するため両社が協業を進める計画だが、サービスの実現には規制要件への適合と両社間での正式契約の締結が前提となる。
DFNSが提供するウォレット・アズ・ア・サービス(Wallet-as-a-Service:WaaS)基盤は、取引の承認フローや秘密鍵の管理、外部サービスとの連携などを一つの管理基盤に集約したもの。100を超えるブロックチェーンに対応し、クラウド型のSaaSに加え、金融機関が自社環境で鍵情報を管理できるオンプレミス型でも導入できる。暗号鍵を保護する専用装置ハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)も標準でサポートするとしている。
DFNSは同社の説明によれば、400以上の金融機関・フィンテック企業に導入され、預かり資産は1,000億ドルを超えるという。コインチェックグループのパスカル・サン=ジャン(Pascal St-Jean)最高経営責任者(CEO)は、国内のリテール顧客と過去10年にわたり築いた信頼を機関投資家向けサービスへ広げるには、これまでとは異なる水準のカストディ基盤が必要になると説明し、DFNSのウォレット技術と機関投資家分野の専門性が既存事業を補強すると述べた。
コインチェックグループは今年5月、KDDIによる資本参画を発表し、同社が発行済株式の14.9%を取得することを明らかにしている。同時に、KDDI、auフィナンシャルホールディングス、コインチェックの3社は、利用者自身が秘密鍵を管理するノンカストディアルウォレット事業を手がける新会社「au Coincheck Digital Assets株式会社」を組成し、2026年夏ごろからの個人向けウォレット提供を予定していた。
今回のDFNSとの提携が対象とするのは、こうした個人向けサービスとは異なり、信託銀行など金融機関が利用するカストディ基盤である。コインチェックグループは個人向け事業に加え、機関投資家向け事業へも領域を広げる姿勢を明確にした形だ。なおDFNSのクラリス・アジェージュ(Clarisse Hagège)CEOは、日本を世界有数の規制が整備されたデジタル資産市場と評価し、同社のウォレット基盤を日本市場へ展開する考えを示した。


